日本透析医学会雑誌
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透析技術
アクセスとなる血管を温存するために
:前腕における動脈表在化
杉浦 清史秦 健一郎舟尾 清昭杉田 省三吉本 充和田 誠次山本 晋史
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2013 年 46 巻 3 号 p. 395-398

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抄録

限りがあるバスキュラーアクセス(vascular access:VA)に使用できる血管を,有効に使用していくために,VAとしての橈骨動脈表在化アクセスの有効性を検討した.超音波断層法にて,橈骨動脈の開存,動脈硬化の程度,太さを検討した.橈骨動脈の内側に切開をおき皮下を剥離し,筋膜に達する.橈側手根屈筋と腕橈骨筋の間を剝離し,橈骨動脈を周囲より剥離していく.動脈剥離後,筋膜を縫合し後壁を作製する.5例の橈骨動脈の表在化を行った.2例に初回アクセス作製時に心不全があり,2例に内シャント再建時に,バックアップアクセスとして作製した.1例は再建時に前腕に良好な静脈がないため,前腕で表在化した橈骨動脈より脱血し,肘窩の静脈に返血した.症例1,症例4,症例5は,橈骨動脈より250 mL/minの脱血ができ,十分な透析ができた.前腕での橈骨動脈表在化はVAとして有効であり,アクセスとなる血管の温存のために役立つと考えられた.

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© 2013 一般社団法人 日本透析医学会
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