日本透析医学会雑誌
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症例報告
重症下肢虚血に対し陰圧閉鎖療法を含む集学的治療を行い大切断を回避した維持血液透析患者の1例
成山 真一武川 力西堀 祥晴粕本 博臣本庄 桂子堀松 徹雄伊東 芳江中田 千鶴子木原 陽子玉置 尚康安井 智彦中西 健
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2013 年 46 巻 7 号 p. 661-666

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抄録

近年,糖尿病の増加に伴い糖尿病性腎症を原疾患とする維持血液透析患者に多くみられるようになった重症下肢虚血(critical limb ischemia:CLI)による下腿や大腿等の下肢切断は患者の活動性を極度に低下させるのみならず,生命予後にも深刻な悪影響を与えることが知られている.このためCLIに対する治療を行うに際して下肢切断を回避もしくは切断範囲の縮小に努め,歩行機能を可能な限り温存させることが重要な課題と考えられる.今回,われわれは維持血液透析患者に発症した重症下肢虚血に対し,血管形成術,LDLアフェレーシス,陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy: NPWT)といった集学的治療を行い,大切断を回避できた1例を経験した.症例は,56歳,男性,糖尿病性腎症由来の慢性腎不全のため2010年1月より当院で血液透析導入となった.2012年1月頃より右下腿に安静時疼痛が出現し,バイパス術による血行再建を目的に他院に転院となった.同院での治療の末,右大腿切断に至った.同年5月に当院に転院となりリハビリテーションを行っていたが,7月上旬より左下肢の第4趾および第5趾に壊死が出現し,かつ感染も併発した.創部感染に対し抗生剤投与を開始するとともに血管形成術およびLDLアフェレーシスを,8月末から陰圧閉鎖療法を行い,大切断を回避することができた.既存の治療に陰圧閉鎖療法を併用することは,血液透析患者におけるCLIに対する有効な治療選択肢の一つとなり得ることが示唆された.

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© 2013 一般社団法人 日本透析医学会
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