日本透析医学会雑誌
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原著
カーボスター透析液の調整と慢性維持透析患者の酸塩基平衡
正井 基之坂井 健彦内野 順司石丸 昌志山本 淳白井 厚治吉田 豊彦
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2013 年 46 巻 7 号 p. 651-659

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抄録

 重炭酸透析液よりカーボスターP透析への変更によりアシドーシスの改善が報告されている.われわれは以前カーボスター透析液をpH 7.60~7.70に調節し4時間の多人数透析に使用していたが,終了時にややアルカレミアに傾く例が多かった.現在はより長時間の透析を安全に行うため,pH 7.55~7.65に調節して使用している.この条件で行われた透析における維持透析患者の酸塩基平衡について検討した.2日あきの週初めの透析前の血中重炭酸イオンは16.6~25.8(21.8±2.2)mEq/Lであり,21~22 mEq/Lに分布のピークを認め,29例中21例(72%)が21 mEq/Lを超えていた.週末の透析前の血中重炭酸イオンは21.8~26.9(23.9±1.7)mEq/Lであり,22~23 mEq/Lに分布のピークを認め,全例が21 mEq/Lを超えていた.週初めに比べて週末の重炭酸イオンは有意に高値であり,週初めと週末の重炭酸イオンの平均値の差は2.1 mEq/Lであった.週初めの透析終了時に重炭酸が30 mEq/Lを超える例は透析液pHが7.60~7.70に調節時には18例中8例,透析液pHを7.55~7.65に調節時には30 mEq/Lを超える例はなく,有意な差を認めた.透析終了時にpHが7.50を超える例は透析液pHが7.60~7.70に調節時には18例中16例,透析液pHを7.55~7.65に調節時には29例中9例であり,有意差を認めた.カーボスター透析液のpHの違いが患者の酸塩基平衡に影響することが明らかになった.カーボスター透析液を使用するときには透析液のpHをコントロールすることが重要であり,pHを7.55~7.65に調節して使用することにより,透析前の重炭酸イオンは良好にコントロールされており,透析終了時に強くアルカレミアに傾くことなく使用できると考えられた.

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© 2013 一般社団法人 日本透析医学会
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