日本透析医学会雑誌
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46 巻 , 7 号
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一般社団法人 日本透析医学会維持血液透析ガイドライン:血液透析処方
原著
  • 藤井 由季, 阿部 雅紀, 樋口 輝美, 鈴木 紘子, 松本 史郎, 水野 真理, 菊池 史, 岡田 一義, 相馬 正義
    2013 年 46 巻 7 号 p. 633-640
    発行日: 2013/07/28
    公開日: 2013/08/17
    ジャーナル フリー
    糖尿病血液透析患者におけるDPP-4阻害薬アログリプチンの有効性と安全性について検討した.HbA1c(NGSP)値>6.9%またはグリコアルブミン(GA)値>20.0%で,食事・運動療法またはDPP-4阻害薬以外の経口血糖降下薬にて治療中の2型糖尿病血液透析患者28例(男性22例,女性6例,平均年齢69.9±9.5歳,平均透析歴55.0±51.0か月)を対象とした.インスリン治療中の患者は除外した.既存の糖尿病治療は,ミチグリニド15 mg/日が3例,30 mg/日が1例,α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)が10例,食事・運動療法のみが14例であった.これら28例に対してアログリプチン6.25 mgを1日1回投与とし,透析開始前の食後随時血糖値(PPG),HbA1c,GA値の推移を24週間観察した.PPG,GA値はアログリプチン投与4週目より,HbA1c値は8週目より有意な低下を認め,効果は24週目まで持続した.アログリプチン投与前が食事・運動療法のみで治療されていた14例を単独群とし,すでにミチグリニドまたはα-GIによる治療を受けていた14例を併用群とし,サブグループ解析を行った.HbA1cのベースラインからの変化率は2群間で有意な差は認められなかったが,PPGとGAの変化率は単独群で有意に大きかった.また,中性脂肪と透析間体重増加には有意な低下が認められた.観察期間中,低血糖などの有害事象は認められなかった.アログリプチンは糖尿病透析患者の血糖コントロールに有効であった.特に,薬物未治療例には効果が期待できると考えられた.長期的な有効性,安全性については今後のさらなる検討が必要である.
  • 樋口 輝美, 石川 由美子, 山崎 俊男, 水野 真理, 大川 恵里奈, 瀬戸口 晴美, 柳沢 順子, 吉沢 美佳, 堀之内 那美, 遊佐 ...
    2013 年 46 巻 7 号 p. 641-649
    発行日: 2013/07/28
    公開日: 2013/08/17
    ジャーナル フリー
    目的:透析患者におけるerythropoiesis-stimulating agents(ESAs)低反応の原因に種々の因子が関与する.今回,ESAs低反応の指標として,erythropoiesis resistance index(ERI)を用い,種々の因子との関連につき検討した.対象:維持透析施行中の患者130名で,内訳は男性91名,女性39名.平均年齢69±11歳,平均透析歴55±60か月.方法:ERIの定義はESAs投与量を体重(BW)とHbで割った値ESA doses/kg/g/dL/週とした.ESAsはrHuEPOとDarbepoetin α(DA)を使用しており,rHuEPOとDAの比を200:1としrHuEPOの換算量とし過去1か月の平均投与量を算出し,各種因子との関連を検討した.結果:鉄代謝マーカーのFe,TIBC,TSATと有意な負の相関を認め,フェリチンとは有意な正の相関を認めた.炎症性サイトカインのIL-6とは有意な正の相関を認め,栄養状態のアルブミン,GNRIと有意な負の相関を認め,BWとBMIとも有意な負の相関を認めた.また動脈硬化症に関係するfetuin-Aとは有意な負の相関を認め,baPWVとは正の相関を認めた.酸化ストレスの8-OHdGとは有意な正の相関を認め,総コレステロール(T-C),LDL-コレステロール(LDL-C),中性脂肪(TG)とも有意な負の相関を認めた.多変量解析では,TSAT,TIBC,BMI,8-OHdGと有意な相関を認めた.結論:鉄代謝マーカーのFe,TIBC,TSAT,フェリチン,炎症性サイトカインのIL-6,栄養状態のGNRI,アルブミン,BW,BMI,動脈硬化症に関連するfetuin-A,baPWV,酸化ストレスの8-OHdG,および脂質系のT-C,LDL-C,TGがESAs低反応に関与することが示唆された.
  • 正井 基之, 坂井 健彦, 内野 順司, 石丸 昌志, 山本 淳, 白井 厚治, 吉田 豊彦
    2013 年 46 巻 7 号 p. 651-659
    発行日: 2013/07/28
    公開日: 2013/08/17
    ジャーナル フリー
     重炭酸透析液よりカーボスターP透析への変更によりアシドーシスの改善が報告されている.われわれは以前カーボスター透析液をpH 7.60~7.70に調節し4時間の多人数透析に使用していたが,終了時にややアルカレミアに傾く例が多かった.現在はより長時間の透析を安全に行うため,pH 7.55~7.65に調節して使用している.この条件で行われた透析における維持透析患者の酸塩基平衡について検討した.2日あきの週初めの透析前の血中重炭酸イオンは16.6~25.8(21.8±2.2)mEq/Lであり,21~22 mEq/Lに分布のピークを認め,29例中21例(72%)が21 mEq/Lを超えていた.週末の透析前の血中重炭酸イオンは21.8~26.9(23.9±1.7)mEq/Lであり,22~23 mEq/Lに分布のピークを認め,全例が21 mEq/Lを超えていた.週初めに比べて週末の重炭酸イオンは有意に高値であり,週初めと週末の重炭酸イオンの平均値の差は2.1 mEq/Lであった.週初めの透析終了時に重炭酸が30 mEq/Lを超える例は透析液pHが7.60~7.70に調節時には18例中8例,透析液pHを7.55~7.65に調節時には30 mEq/Lを超える例はなく,有意な差を認めた.透析終了時にpHが7.50を超える例は透析液pHが7.60~7.70に調節時には18例中16例,透析液pHを7.55~7.65に調節時には29例中9例であり,有意差を認めた.カーボスター透析液のpHの違いが患者の酸塩基平衡に影響することが明らかになった.カーボスター透析液を使用するときには透析液のpHをコントロールすることが重要であり,pHを7.55~7.65に調節して使用することにより,透析前の重炭酸イオンは良好にコントロールされており,透析終了時に強くアルカレミアに傾くことなく使用できると考えられた.
症例報告
  • 成山 真一, 武川 力, 西堀 祥晴, 粕本 博臣, 本庄 桂子, 堀松 徹雄, 伊東 芳江, 中田 千鶴子, 木原 陽子, 玉置 尚康, ...
    2013 年 46 巻 7 号 p. 661-666
    発行日: 2013/07/28
    公開日: 2013/08/17
    ジャーナル フリー
    近年,糖尿病の増加に伴い糖尿病性腎症を原疾患とする維持血液透析患者に多くみられるようになった重症下肢虚血(critical limb ischemia:CLI)による下腿や大腿等の下肢切断は患者の活動性を極度に低下させるのみならず,生命予後にも深刻な悪影響を与えることが知られている.このためCLIに対する治療を行うに際して下肢切断を回避もしくは切断範囲の縮小に努め,歩行機能を可能な限り温存させることが重要な課題と考えられる.今回,われわれは維持血液透析患者に発症した重症下肢虚血に対し,血管形成術,LDLアフェレーシス,陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy: NPWT)といった集学的治療を行い,大切断を回避できた1例を経験した.症例は,56歳,男性,糖尿病性腎症由来の慢性腎不全のため2010年1月より当院で血液透析導入となった.2012年1月頃より右下腿に安静時疼痛が出現し,バイパス術による血行再建を目的に他院に転院となった.同院での治療の末,右大腿切断に至った.同年5月に当院に転院となりリハビリテーションを行っていたが,7月上旬より左下肢の第4趾および第5趾に壊死が出現し,かつ感染も併発した.創部感染に対し抗生剤投与を開始するとともに血管形成術およびLDLアフェレーシスを,8月末から陰圧閉鎖療法を行い,大切断を回避することができた.既存の治療に陰圧閉鎖療法を併用することは,血液透析患者におけるCLIに対する有効な治療選択肢の一つとなり得ることが示唆された.
  • 渡辺 隆太, 稲田 浩二, 東 浩司, 山下 与企彦, 岡 明博, 中西 英元, 岡本 典子
    2013 年 46 巻 7 号 p. 667-670
    発行日: 2013/07/28
    公開日: 2013/08/17
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.双極性障害のため近医精神科に通院し内服加療を行っていたが,攻撃性がみられコントロール不良であったため,2011年4月下旬同院入院,炭酸リチウム800 mg/日内服開始された.興奮状態は徐々に収まったが,内服6日目頃から傾眠傾向となった.内服13日目に測定したリチウム血中濃度が3.4 mEq/Lと異常高値を示したため,当院に救急搬送された.急性リチウム中毒による意識障害と考えられたため,リチウム除去目的の血液透析を開始した.6日間連日1日1回の4時間透析を施行した.リチウム血中濃度は速やかに低下し,入院3日目には1.0 mEq/L以下となった.治療7日目より急激に意識レベルは改善し,通常の会話が可能となり,不随意運動も認めなくなったため,血液透析は終了した.入院9日目に前医精神科に転院した.炭酸リチウム内服開始初期の急性中毒の場合,間欠的透析加療のみで速やかに血中濃度の低下が期待できる.
  • 小林 園実, 田端 秀日朗, 安藤 明利, 西村 英樹, 佐中 孜, 新田 孝作, 内藤 隆
    2013 年 46 巻 7 号 p. 671-680
    発行日: 2013/07/28
    公開日: 2013/08/17
    ジャーナル フリー
     症例1は57歳,男性.感冒様症状が出現後,腹痛や関節痛および両下肢浮腫・紫斑が出現した.ネフローゼ症候群をきたし,皮膚生検および腎生検の病理結果よりHenoch-Schönlein紫斑病(HSP)と診断した.Prednisolone(PSL)投与にて両下肢の紫斑および関節痛は軽快傾向であったが,腹痛および下血は改善せず,白血球除去療法(leukocytapheresis:LCAP)を計7回施行した.LCAP後,両下肢の紫斑,腹痛および下血症状は改善し,便潜血も陰性化した.しかし尿蛋白は改善せず,methylprednisolone(mPSL)セミパルス療法(500 mg/日)を施行後,cyclosporin A(CYA)を併用し,尿蛋白は陰性化した.症例2は50歳,男性.感冒様症状,左鼠径部の皮下膿瘍,両下肢の関節痛および紫斑が出現し,皮膚科入院となった.左鼠径部の皮下膿瘍より溶連菌を認め,皮膚生検よりHSPと診断された.PSL投与を開始するも腹部症状,下血,尿蛋白が出現し,腎臓内科へ転科となった.腎生検を施行後,mPSLセミパルス療法(500 mg/日)およびPSLの増量にて尿蛋白は陰性化した.しかし紫斑の再発,腹痛,下血症状は持続し,LCAPを計3回施行した.LCAP後,紫斑および腹部症状は著明に改善し,後療法としてmizoribine(MZR)を併用し,軽快退院となった.下部消化管出血を伴ったHSPに対してLCAPを含めた集学的治療が有効であった症例を2例経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.
  • 甲田 亮, 吉野 篤範, 今西 優仁, 川本 進也, 竹田 徹朗, 水口 真理, 笛木 直人, 相良 博典
    2013 年 46 巻 7 号 p. 681-686
    発行日: 2013/07/28
    公開日: 2013/08/17
    ジャーナル フリー
    69歳,女性,抗基底膜抗体型急速進行性糸球体腎炎のため8か月前に血液透析導入.近医で週3回の維持血液透析を受けていた.血液透析導入後も抗基底膜抗体価は高値を持続しプレドニゾロン,シクロホスファミドの内服を継続していた.入院2か月前から微熱あり.咳,痰などの呼吸器症状はなかった.精査のため当院入院,両肺野にびまん性の小結節影あり,肺結核症が疑われた.入院翌日血液透析開始時にT-スポット®.TB提出.初回の喀痰抗酸菌塗抹は陰性.3日後にT-スポット®.TB陽性と報告あり,胃液を採取し抗酸菌塗抹を行ったところ陽性.PCR法で結核菌群と同定された.ツベルクリン反応は陰性であった.個室隔離,個室透析とともに抗結核薬4剤で加療を開始した.入院12日目に結核療養病院へ転院した.T-スポット®.TBは2012年11月13日より本邦で測定可能となったEnzyme-Linked ImmunoSpot(ELISPOT)法を用いた新しいインターフェロンγ遊離試験(Interferon-Gamma Release Assay,IGRA)である.免疫不全の患者,リンパ球数の少ない患者においては既存のIGRAであるクォンティフェロンTBゴールドに比べ高い感度を有する可能性が報告されている.T-スポット®.TBにより早期診断,治療ができた透析患者の肺結核を経験したので報告する.
平成24年度コメディカル研究助成報告
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