日本透析医学会雑誌
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症例報告
白血球除去療法が有効であった下部消化管出血を伴った成人Henoch-Schönlein紫斑病(HSP)の2例
小林 園実田端 秀日朗安藤 明利西村 英樹佐中 孜新田 孝作内藤 隆
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2013 年 46 巻 7 号 p. 671-680

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抄録

 症例1は57歳,男性.感冒様症状が出現後,腹痛や関節痛および両下肢浮腫・紫斑が出現した.ネフローゼ症候群をきたし,皮膚生検および腎生検の病理結果よりHenoch-Schönlein紫斑病(HSP)と診断した.Prednisolone(PSL)投与にて両下肢の紫斑および関節痛は軽快傾向であったが,腹痛および下血は改善せず,白血球除去療法(leukocytapheresis:LCAP)を計7回施行した.LCAP後,両下肢の紫斑,腹痛および下血症状は改善し,便潜血も陰性化した.しかし尿蛋白は改善せず,methylprednisolone(mPSL)セミパルス療法(500 mg/日)を施行後,cyclosporin A(CYA)を併用し,尿蛋白は陰性化した.症例2は50歳,男性.感冒様症状,左鼠径部の皮下膿瘍,両下肢の関節痛および紫斑が出現し,皮膚科入院となった.左鼠径部の皮下膿瘍より溶連菌を認め,皮膚生検よりHSPと診断された.PSL投与を開始するも腹部症状,下血,尿蛋白が出現し,腎臓内科へ転科となった.腎生検を施行後,mPSLセミパルス療法(500 mg/日)およびPSLの増量にて尿蛋白は陰性化した.しかし紫斑の再発,腹痛,下血症状は持続し,LCAPを計3回施行した.LCAP後,紫斑および腹部症状は著明に改善し,後療法としてmizoribine(MZR)を併用し,軽快退院となった.下部消化管出血を伴ったHSPに対してLCAPを含めた集学的治療が有効であった症例を2例経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.

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© 2013 一般社団法人 日本透析医学会
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