抄録
血液透析患者において動脈硬化性疾患は頻度の高い合併症となっている.今回われわれは,血液透析患者の頸動脈血流速度波形の指標から脳・心血管障害(cerebro- and cardiovascular disorders:CCVD)発症の予測因子として有用なパラメーターを検索した.血液透析患者87例について,頸動脈エコーによる左右総頸動脈の血流速度から,収縮期最高血流速度(peak systolic velocity: PSV),拡張末期最低血流速度(end diastolic velocity:EDV),拍動係数(pulsatility index: PI),拡張末期最低血流速度の左右比(ED ratio)を解析した.これらの血流速度波形指標と最大頸動脈内中膜複合体厚(maximum intima- media thickness: max-IMT),心臓足首血管指数(cardio ankle vascular index: CAVI)および腹部大動脈石灰化指数(aortic calcification index: ACI)との関連性は,EDVとCAVI(r=-0.319),max-IMT(r=-0.268)およびACI(r=-0.295)に有意な負相関が認められた.CCVDの有無で分けた2群(CCVD-群=53例,CCVD+群=34例)間の比較では,EDV(p=0.019)とED ratio(p=0.041)に有意差が認められた.さらに,検査後から2年半のCCVD発症率は,EDVの平均値で分けたEDV<11 cm/sec群がEDV≥11 cm/sec群にくらべ有意に高値(p=0.012)であった.血液透析患者においてEDVの低値はCCVD発症に関連していると思われた.