日本透析医学会雑誌
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症例報告
二重濾過血漿交換を用いたインスリン抗体の除去により長期にわたり良好なコントロールを得た2型糖尿病症例
西川 真那寺西 哲也森澤 俊英山内 健史日並 義統関 保道上山 茂充三木 隆
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2014 年 47 巻 2 号 p. 159-165

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抄録
 52歳男性.30歳頃に糖尿病を指摘,40歳から経口血糖降下薬が,51歳よりインスリンが開始となった.インスリン開始約8か月後から,インスリンを増量しても血糖値が300~600mg/dL台に上昇しインスリンの作用不全を呈した.また同時期にインスリン注射部位の皮疹も出現した.当科に紹介となり,紹介時IRI(immunoreactive insulin)は5,182.6μU/mLと著明高値であった.インスリン抗体(抗体価5,000以上,結合率90%以上)を認めscatchard plot解析では高結合能,低親和性の性質であり,この抗体の出現が血糖変動の増大の主因と考えた.また皮疹については皮内テストからインスリンアレルギーと診断した.インスリン投与によるさらなる抗体産生を避けるためインスリンを中止し,入院の上27kcal/kgの食事療法下で複数の経口血糖降下薬によるコントロールを試みたが血糖値はさらに上昇した.インスリンを併用せざるを得ず,特に誘因のない低血糖も繰り返すようになった.このためインスリン抗体除去を目的に計5回二重濾過血漿交換(DFPP)を行ったところ,インスリン抗体結合率は73.5%にIRIは746.9μU/mLに低下した.DFPP後インスリンは投与せず内服薬のみで血糖コントロールを行い,結合率やIRI値はその後も低下した.また皮疹はDFPP後数日で消失した.DFPPによるインスリン抗体の除去が高インスリン血症や糖毒性の解除につながり,インスリンの自己分泌と内服薬のみでの良好な血糖コントロールを可能とした.以後2年間を経過しても,内服薬のみで良好な血糖コントロールを維持できている.DFPPによるインスリン抗体の除去により長期に良好な血糖コントロールを得た報告はない.本症例ではインスリンの自己分泌能が保たれていたためDFPPによるインスリン抗体の除去が奏功したと考えられた.
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© 2014 一般社団法人 日本透析医学会
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