日本透析医学会雑誌
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症例報告
重症筋無力症にて胸腺腫摘出後ネフローゼ症候群を合併しLDLアフェレシスが著効した1例
飯ヶ谷 嘉門今福 俊夫安藤 孝立松 覚黄田 宗明大槻 昌子内藤 真規子亀山 香織
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2014 年 47 巻 4 号 p. 241-247

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抄録
 症例は61歳男性. 30年前に重症筋無力症を発症し, その際胸腺腫も認められ摘出術を受けて胸腺腫と診断されていた. 重症筋無力症は3年前よりシクロスポリン100mgのみで加療され症状は安定していた. ネフローゼ症候群, 急性腎不全を発症し入院した. 入院後, 腎生検を行い, 微小変化群と診断した. 経口ステロイド療法, ステロイドパルス施行するも無効であったため, 腎不全の進行とネフローゼ症候群に対し第41病日に血液透析を, 第52病日にLDLアフェレシス (LDL-A) を導入した. LDL-A施行後から蛋白尿は改善し, 同時に腎不全も改善, 第68病日に血液透析, 計5回のLDL-Aから離脱した. 以後ネフローゼ症候群は完全寛解を維持した. 重症筋無力症に対してシクロスポリン投与中に, 微小変化群を発症した症例は報告がない. 重症筋無力症合併ネフローゼ症候群は一般的にはステロイド治療が奏効するが, 本症例では奏効せずLDL-Aを追加することで完全寛解に至った. ネフローゼ症候群に伴う高LDL血症の改善はシクロスポリン, ステロイドの薬剤感受性を改善させ, 寛解に導く補助療法として有用であると考えられた. また重症筋無力症および胸腺腫摘出後, 長い経過の後にネフローゼ症候群を発症する例が報告されているが, 本症例のように30年の経過で発症した例は報告されていない. 重症筋無力症合併微小変化型ネフローゼ症候群の病因の一つとして示唆されている胸腺関連T細胞リンパ増殖が長期に残存している可能性が考えられた.
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© 2014 一般社団法人 日本透析医学会
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