抄録
症例1 : 58歳, 男性, 透析歴28年. CRP高値の精査にてCTを施行したところ多発性肝腫瘍を認め, 原発巣不明癌の診断にて化学療法を施行. 剖検にて右腎原発の紡錘細胞型腎癌と診断. 症例2 : 61歳, 男性, 腎移植後, 47歳時に血液透析再導入. 右腎癌の診断にて腹腔鏡下右腎摘出術施行. 病理診断は紡錘細胞型腎癌. 術後約3か月に肝転移および直腸転移を認めエベロリムスを開始したが, その後死亡. 症例3 : 60歳, 男性, 透析歴25年. 発熱および食欲不振の精査にて入院. CTにて多発性肝腫瘤を認め右背部痛, 持続する発熱のため右腎囊胞感染または右腎腫瘍を疑い開腹右腎摘出術を施行. 病理診断は, 紡錘細胞型腎癌. 術後2週間目に心原性脳梗塞にて死亡. 長期透析患者のエコーやCTによる定期的スクリーニングが有益といわれている. しかしながら透析患者に発生する紡錘細胞型腎癌においては, 画像による診断が困難な症例があることを認識すべきである.