日本透析医学会雑誌
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48 巻 , 10 号
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総説
原著
  • 古野 孝明, 宮家 郁, 笹木 史絵, 川口 健, 半田 寛, 今井 圭介, 髙取 優二, 藤原 恒太郎, 藤原 久子
    2015 年 48 巻 10 号 p. 577-584
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/28
    ジャーナル フリー
    【目的】クエン酸第二鉄水和物投与開始時に鉄剤投与を中止し, 腎性貧血に対する有効性について検討した. 【対象】95名の血液透析患者のうち, 選択基準を満たした45名. 【方法】クエン酸第二鉄水和物1,500mg/日投与時に静注・経口鉄剤投与を中止し, 鉄関連検査値, ダルベポエチンα (DA) 投与量, ESA抵抗性について検討した. 【結果】対象患者全体の検討では, フェリチン値, TSATに有意な変化を認めず, Hb濃度が有意に上昇した. DA投与量も有意に低下し, 40.1%のDA削減効果を認めた. 鉄剤服用群別の検討では, 静注鉄剤中止群は50.2%, 経口鉄剤中止群は33.5%のDA削減効果を認め, ESA抵抗性は低下した. 【結語】クエン酸第二鉄水和物1,500mg/日投与時に鉄剤を中止することで鉄過剰を防ぎ, さらにHb濃度が上昇した. 貧血改善効果は静注, 経口鉄剤より良好であると考えられ, クエン酸第二鉄水和物の腎性貧血に対する有効性が示唆された.
  • 下山 正博, 浅野 学, 中原 徳弥, 岡本 真智子, 岩渕 仁, 小口 健一, 坂田 芳人
    2015 年 48 巻 10 号 p. 585-591
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/28
    ジャーナル フリー
    維持透析患者における順行性経皮的大動脈弁バルーン形成術の効果と安全性について検討した. 2009年11月から2014年3月に当院で治療した血液透析患者20例を対象とした. 治療前後で, 大動脈弁圧較差55.6±15.4mmHgから19.0±9.9mmHg, 大動脈弁口面積0.69±0.17cm2から1.24±0.34cm2, NYHA分類3.4±0.68から1.75±0.85, 透析時最低収縮期血圧96.6±22mmHgから112.2±24.9mmHgと改善が認められた. 1例の死亡を認め, その他の合併症は3例で認められた. 再狭窄は2例で認められ, 再治療を行った. 重症大動脈弁狭窄症合併透析患者に対し同治療は低侵襲かつ安全に施行でき, 臨床症状の改善や透析困難の解消に有効であった.
症例報告
  • 海老澤 有紀, 大橋 梨佳, 高橋 寿弥, 三浦 隆彦, 滝沢 利一, 大林 由明
    2015 年 48 巻 10 号 p. 593-597
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/28
    ジャーナル フリー
    症例は79歳, 男性. 201X年1月に発熱, 発疹を主訴に他院へ入院し, 中毒疹の診断でステロイド治療を開始し, 漸減して退院した. 同年4月に血小板減少を認めたため入院したが, 貧血と意識障害が出現したため, 血液疾患が疑われ当院へ転院した. 来院時血小板減少, 溶血性貧血, 動揺性精神障害を認めたことから血栓性血小板減少性紫斑病が疑われ, 血漿交換とステロイド大量療法を開始した. 後日抗ADAMTS13活性が測定感度以下であることから, TTPの診断に至った. 一旦治療は奏功したが, 再度血小板が著減したため, リツキシマブとシクロホスファミドを併用した. 血小板は再度上昇を認めたため血漿交換から離脱し, ステロイド内服の継続にて退院した. 今回TTPに対して血漿交換・ステロイド大量療法を行ったところ治療抵抗性を示し, リツキシマブとシクロホスファミドの併用にて治療効果を示した1例を経験したので報告する.
  • 辻村 一馬, 白川 浩希, 長谷川 純平, 遠藤 真理子, 若井 幸子, 迫間 隆昭
    2015 年 48 巻 10 号 p. 599-604
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/28
    ジャーナル フリー
    症例1 : 58歳, 男性, 透析歴28年. CRP高値の精査にてCTを施行したところ多発性肝腫瘍を認め, 原発巣不明癌の診断にて化学療法を施行. 剖検にて右腎原発の紡錘細胞型腎癌と診断. 症例2 : 61歳, 男性, 腎移植後, 47歳時に血液透析再導入. 右腎癌の診断にて腹腔鏡下右腎摘出術施行. 病理診断は紡錘細胞型腎癌. 術後約3か月に肝転移および直腸転移を認めエベロリムスを開始したが, その後死亡. 症例3 : 60歳, 男性, 透析歴25年. 発熱および食欲不振の精査にて入院. CTにて多発性肝腫瘤を認め右背部痛, 持続する発熱のため右腎囊胞感染または右腎腫瘍を疑い開腹右腎摘出術を施行. 病理診断は, 紡錘細胞型腎癌. 術後2週間目に心原性脳梗塞にて死亡. 長期透析患者のエコーやCTによる定期的スクリーニングが有益といわれている. しかしながら透析患者に発生する紡錘細胞型腎癌においては, 画像による診断が困難な症例があることを認識すべきである.
  • 神田 怜生, 佐藤 大介, 相澤 昌史, 平井 周, 富野 康日己, 船曳 和彦
    2015 年 48 巻 10 号 p. 605-610
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/28
    ジャーナル フリー
    症例は48歳, 男性. 糖尿病性腎症による末期腎不全で, 平成2X年4月上旬に血液透析 (HD) を導入された. 導入直後より39°C台の発熱を認めたが原因不明で, 抗生物質による改善より細菌性感染と考えた. 以後, 近医でHDを施行していたが, 8月下旬に嘔吐があり腹部腫瘤を指摘され, 再度精査加療の目的で入院となった. 画像検査上, 腹腔内小腸周囲に12×5×8cmの被膜を有する囊胞性腫瘤を認めた. 手術所見は腹膜の癒着と臓側・壁側腹膜に充実性腫瘤を多数認め, 腫瘤自体は癒着が強く切除不能であった. 進行性の悪性軟部腫瘍と考えられたが, 他臓器の病変は認めなかった. 病理組織所見では, 高度の好中球・マクロファージの浸潤, 巨細胞状の多核細胞を散見し核の多形性を認めた. 免疫染色では, 特異的マーカーは陰性であった. 以上より, 炎症性悪性線維性組織球腫と診断された. 透析症例における本疾患については既報がなく, 貴重な症例と考え報告する.
  • 藤原 康朗, 金森 直明, 川口 悟, 松本 元一
    2015 年 48 巻 10 号 p. 611-615
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/28
    ジャーナル フリー
    Caroli病は肝内胆管の囊胞状拡張を主病変とする先天異常で高率に海綿腎や囊胞腎を合併するまれな疾患である. 症例は78歳男性. 平成20年 (73歳) より多発性囊胞腎のため血液透析導入された. 平成23年4月より原因不明の感染症を認め, 入退院を繰り返していた. 腹部CT検査や腹部超音波検査で肝内胆管の多発性囊胞を認めた. MRCP検査では肝内の囊胞状胆管拡張を認めた. ERCPでは肝内胆管が一部, 囊胞状拡張と多発肝囊胞による胆管の圧排像を認めた. 以上, 各種画像検査より肝内胆管の囊胞状拡張が認められCaroli病と診断した. Caroli病の分類で線維化を認めない純型 (Ⅰ型) と肝線維化合併型 (Ⅱ型) があり, ヒアルロン酸値は14,164ng/mLと高値であり, Ⅱ型が考えられた. 多発性囊胞腎に合併した透析患者のCaroli病はまれであり, 文献を加えて報告する.
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