2015 年 48 巻 12 号 p. 719-722
症例は61歳の男性. 原疾患不明の慢性腎不全に対して腹膜透析が導入された. 導入後4か月経過した際に, 両側陰囊の腫大が出現し増悪したため入院となった. 入院時には陰茎から下腹部まで浮腫を伴っていた. 腹膜透析を中止することで陰囊腫大は改善したが, 腹膜透析を再開後5日目には右陰囊の腫大が再度出現した. 腹腔内造影剤注入CTにて腹腔内より腹膜鞘状突起を経て陰囊に造影剤の貯留を認めた. 腹膜鞘状突起開存による交通性陰囊水腫の診断で手術を施行し, 開存した腹膜鞘状突起の高位結紮, 切離を施行した. 術後7日目に腹膜透析を再開したが, 合併症なく経過した. 腹膜透析に合併した交通性陰囊水腫は報告が少なく, 若干の文献的考察も含めて報告する.