日本透析医学会雑誌
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総説
透析におけるヘパリン起因性血小板減少症の特徴
松尾 武文鶴田 良成
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2016 年 49 巻 5 号 p. 323-330

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抄録
透析治療におけるヘパリンの使用は必須である. また, 透析導入期のヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) の発症頻度は1%以上と高い. 欧米では, 4Tスコア法 (血小板減少, 減少タイミング, 血栓の合併の有無, HIT以外の原因がない, の4項目の点数化) による臨床診断, 酵素免疫測定法による血小板第4因子/ヘパリン複合体抗体 (HIT抗体) のスクリーニング検査, そして14Cセロトニン放出試験 (SRA) によるHIT診断の確認のアルゴリズムが確立されている. わが国では, HIT抗体検査として2種類の化学発光免疫測定法と1種類のラテックス凝集法のHIT抗体検査が保険収載されているが, いずれの測定法も透析HITに対する診断有用性のエビデンスに乏しい. また, SRAを日常的に実施できないので, 透析HITの診断にはHIT抗体検査陽性イコールHITと, 陰性結果イコール非HITと速断せず, 4Tスコア法を活用し臨床情報を的確に把握の上で, HIT抗体検査を実施し, その結果から判断する.
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© 2016 一般社団法人 日本透析医学会
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