日本透析医学会雑誌
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症例報告
回腸瘻造設により高カリウム血症, 代謝性アシドーシスをきたし, 閉鎖後に改善した維持血液透析患者の1例
仲村 聡子清水 納子河野 里佳井上 通𣳾矢内 充岩永 みずき岡崎 晋平三谷 知之内島 豊長谷川 元
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2016 年 49 巻 5 号 p. 331-336

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抄録
症例は64歳男性. 31歳時血液透析導入. 2013年7月から下痢が出現し, 上行結腸に潰瘍を伴う全周性隆起型病変を認め, 生検では炎症細胞浸潤像であった. インターフェロンγ遊離試験が陽性であり腸結核の診断にて抗結核薬を開始するも効果がなくイレウスを併発し, 11月右半結腸切除術, 回腸瘻, 横行結腸粘液瘻造設術を施行した. 術後から低血圧, 高カリウム血症, 代謝性アシドーシスをきたし, アシドーシスは大量下痢によるものと考え, 重曹投与などにて改善したが高カリウム血症はイオン交換樹脂の投与にても持続した. 2014年11月回腸横行結腸吻合術施行後より血清カリウムは低下した. 回腸瘻閉鎖後速やかに高カリウム血症が補正されたことより, 高カリウム血症の原因は大腸からのカリウム排泄減少によると考えられ, 透析患者において腸管によるカリウム排泄の代償機構の重要性が再認識された.
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© 2016 一般社団法人 日本透析医学会
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