日本透析医学会雑誌
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症例報告
強皮症腎クリーゼを呈し維持血液透析導入となった皮膚硬化を欠く限局型強皮症 (sine scleroderma) の1例
増古 紳太郎川嶋 聡子佐藤 由利子内田 裕子小澤 祐子國沢 恭平窪田 沙也花福岡 利仁軽部 美穂駒形 嘉紀要 伸也有村 義宏
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2017 年 50 巻 3 号 p. 207-212

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抄録

83歳女性. 4年前よりレイノー現象を自覚. 1か月前より失神の出没があり, 当院循環器内科へ入院. 高血圧, 心囊液・両側胸水貯留, 急性腎障害, 貧血を認め, 当科で精査. 皮膚硬化を欠いたが, レイノー現象, 爪上皮延長, 指腹毛細血管拡張, 抗核抗体, 抗セントロメア抗体, 抗RNAポリメラーゼⅢ抗体を認め, 皮膚硬化を欠く限局型強皮症 (sine scleroderma) と診断した. 眼底所見でKeith-WagenerⅢ度, 破砕赤血球を伴う溶血性貧血, 血小板減少, レニン・アルドステロン高値を認め, 高血圧性強皮症腎クリーゼと診断した. Ca拮抗薬, ACE阻害薬で降圧は得られたが腎不全は改善せず, 維持血液透析導入となった. 高血圧性強皮症腎クリーゼの危険因子として, びまん性皮膚硬化型や皮膚病変の急速進行例が知られているが, 本例ではそれらの所見を欠いた強皮症腎クリーゼであり, 貴重な症例と考え文献的考察を合わせ報告する.

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© 2017 一般社団法人 日本透析医学会
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