日本透析医学会雑誌
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症例報告
宗教的理由で輸血拒否した患者の緊急血液透析導入を通して, 血液透析におけるリスクマネジメントを考える
藤倉 恵美秋保 真穂中道 崇山本 多恵佐藤 博宮崎 真理子
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2017 年 50 巻 6 号 p. 407-411

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抄録

輸血を拒否する患者に医療を行う際には, 救命を第一義とする医学の基本理念に反する判断を迫られることがある. 待機治療において患者本人の自己決定による輸血拒否や治療拒否は認められるべきであるが, 生命に危険が及ぶような緊急時の対応については医学的, 倫理的, 法的に議論が残る. このような重大な判断を行う際には個人の価値観だけでなく, 組織としての方針を決定しておくことが必要である. 今回われわれは輸血を拒否する慢性腎不全患者に緊急血液透析導入を行った. 病院のリスクマネジメントを展開するうえで, 患者の信仰上の価値観が治療方針に影響を及ぼすことの重大性を示した症例であった.

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© 2017 一般社団法人 日本透析医学会
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