症例は90歳代の男性. 9年前に腎癌のため右腎を摘出された. その後, 高血圧, 腎機能障害を指摘され, 3年前に血液透析を導入された. 経過中, 内シャント不全, 透析回路凝血を繰り返すため抗血小板薬を内服していた. 今回, 血液透析後に吐血したため当院を受診し, 血液検査で肝胆道系酵素の上昇, 腹部単純CTで胆石と緊満・壁肥厚した胆囊を認め, 急性胆管胆囊炎と上部消化管出血の診断で入院した. 内視鏡的逆行性胆管膵管造影 (ERCP) を行い, 十二指腸乳頭部からの出血を認め胆道出血と診断した. 出血源の検索目的で造影CTを行い胆囊仮性動脈瘤からの出血と診断し, 動脈塞栓術を行った. 術後, 胆道出血は改善し, 経過は良好で第19病日に退院した. 維持血液透析患者の胆囊仮性動脈瘤破裂による胆道出血はまれであり, 本例の病態に腎不全の関与が示唆され, また, 透析患者の上部消化管出血の鑑別疾患として念頭におく必要があり, 貴重な症例として報告する.