日本透析医学会雑誌
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症例報告
リファンピシン投与を契機に重症高血圧が生じ,リファブチンへの変更にて軽快した腹膜透析患者の1例
近藤 治朗氏家 はる代山﨑 康司明石 好弘
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2021 年 54 巻 10 号 p. 529-533

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抄録

症例:33歳女性.既往:末期腎不全,高血圧,知的障害.現病歴:X-6年,急速進行性腎炎再発による末期腎不全で腹膜透析導入.入院1か月前から発熱と咳嗽あり,肺門リンパ節腫大,喀痰PCRで結核菌陽性のため当院入院となった.抗結核薬(イソニアジド+リファンピシン(RFP)+エタンブトール+ピラジナマイド)を開始したが,次第に血圧上昇し,5日目より200 mmHg以上の重症高血圧となり6日目にけいれん,意識消失をきたしICU管理となった.降圧薬の静注などで意識障害,呼吸状態も改善したが,重症高血圧が持続した.RFPによる降圧薬との相互作用と考えRFPからリファブチン(RBT)に変更後,速やかに血圧低下し退院となった.RFPはCYP系酵素を強力に誘導するためCYP代謝を受ける種々の降圧薬の効果減弱が血圧上昇の原因と考えられCYP誘導の少ないRBTへの切り替えが有効であった.腹膜透析患者への抗結核薬投与は蓄積や薬物相互作用があり注意を要すると考えられた.

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© 2021 一般社団法人 日本透析医学会
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