日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
原著
新規維持血液透析患者の非計画導入が入退院時の栄養状態と日常生活動作に与える影響
吉田 朋子青山 東五藤井 茉実森岡 優子内藤 正吉佐野 隆竹内 康雄
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 54 巻 2 号 p. 69-76

詳細
抄録

非計画導入は,維持血液透析患者の生命予後危険因子の一つである.われわれは,非計画導入の実態と課題を栄養の観点から明らかにする.対象は,2017年4月から1年間に新規維持血液透析となった患者である.計画導入群は入院前にVAがあり予定入院の症例とし,それ以外を非計画導入群とした.原疾患,年齢,入院日数,合併症,転帰,栄養管理,栄養サポートチーム(NST)やリハビリテーション介入割合,血液検査,ADLを後方視的に集積し2群を比較した.対象は81例であった.そのうち非計画導入群は26例(32%),年齢76(70~82)歳,入院日数48(32~64)日で,46%が心不全,77%が感染症を合併していた.非計画導入群は,計画導入群より有意に栄養状態のリスク評価結果に問題が生じており,血清アルブミン値が低かった.摂取栄養量は改善したが,栄養指標やADLの回復が悪く,転院割合が高かった.非計画導入では,維持血液透析導入時の栄養状態とADLの回復の悪さが予後不良に関係している可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top