2021 年 54 巻 2 号 p. 77-88
透析患者は日常生活動作の低下により,自力での通院困難症例が増加している可能性が高い.透析患者の通院状況を明らかにする目的で,愛知県における実態調査を実施したので報告する.愛知県下の透析施設に対し,令和2年1月1日時点における通院状況を含む実態をアンケート調査した.対象施設184施設中,178施設からの回答(回答率96.2%)が得られ,愛知県在住の17,680例の通院状況を確認できた.全体の約42%にあたる7,348例が施設送迎であり,続いて7,071例で自家用車による通院であった.年齢別では,70歳未満の場合,自家用車が,施設送迎による通院を上回っていた.居住環境別では,家族同居の場合,自家用車での通院が最も多く(46.7%),施設送迎(41.5%)を上回っていた.一方,独居の場合,施設送迎による通院が最も多かった(45.6%).愛知県在住の透析患者は,施設送迎による通院が最も多かった.年齢ならびに居住環境などが通院状況に影響を与えることが示された.