2023 年 56 巻 1 号 p. 23-27
われわれは以前,過剰血流シャントに対する血流制御手術の方法として,グラフトcovering法(graft covering technique:GCT)を考案し報告した.それらは前腕内シャントに対して行ったものであるが,今回われわれは上腕内シャントの過剰血流に対してGCTを試みたので報告する.症例は70歳女性で,上腕動脈表在化および撓側皮静脈との内シャント設置術後3年が経過し,シャント血管痛と過剰血流を認めたためGCTを施行した.既存の内シャントを閉鎖,シャント静脈を剥離,短切した人工血管グラフト(Graft)の中に剥離した静脈を挿入(covering),その状態で内シャント再建術を行い,グラフトと吻合部を数か所縫合して固定した.術後血管痛は消失し,上腕動脈血流量は1,910 mL/minから1,046 mL/minへと低下した.中枢での再建となったが,脱血・返血ともにシャント静脈に穿刺可能であった.上腕内シャントの過剰血流に対してもGCTは試みる価値があると思われた.