日本透析医学会雑誌
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透析技術
エアレス透析用回路「アーチループ」の抗凝固性能に関する検討
神山 匠山口 剛史野澤 佑介有坂 安弘藤原 信里赤木 翔小山田 諒金子 義郎佐々木 祐実合田 貴信村山 美緒上野 明日香星合 愛堀江 康人杉村 浩之安 隆則川本 進也
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2023 年 56 巻 1 号 p. 7-10

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抄録

【背景・目的】血液透析中のトラブルの一つに透析回路の血液凝固がある.血液と空気の接触により凝固系が活性化され血栓を形成し凝固することが一因と考えられている.エアフリーチャンバとダイアフラム型圧力測定ポットを導入した透析回路「アーチループ」(AL)は従来型回路と比べ血液と空気の接触面積低減とプライミングボリューム低減という特徴を持つ.この回路の抗凝固特性を従来型回路と比較検討した.【対象・方法】当院通院中の維持透析患者12名を対象に,ALおよび従来型回路を用いて透析を同条件下で行い,透析開始3時間後の活性化凝固時間(activated clotting time:ACT)を測定し,両群で比較検討した.【結果】ACTは,従来型回路と比べALで有意に延長した(165.1±19.0 vs 153.2±15.2秒,p=0.002).止血不良などの出血傾向増強も認めなかった.【結論】アーチループ回路により回路内凝血の減少が期待できるがその効果はまだ限定的で汎用にはさらなる改良が望まれる.

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© 2023 一般社団法人 日本透析医学会
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