人工透析研究会会誌
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血液浄化治療における器材の進歩と問題点
各種個人用透析液供給装置の評価および今後の課題
今井 了草刈 修一南部 正人松橋 茂子川口 純子林 久美子伊東 由美熊野 和雄酒井 糾
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1984 年 17 巻 2 号 p. 111-114

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抄録
近年, 血液浄化治療の進展に伴い, 個人用透析液供給装置をはじめとし, 各種の機器が登場し, 臨床の場で幅広く使用されている. そこで今回我々は, これらの使用経験に基づき, 特に使用上の問題点について若干の考察を加えた. 現在, 一般臨床で使用されている機器は, 複雑な制御機構をプリント基板にまとめ, コンパクトに, かつ精度良く設計されている. しかし, これらの制御機構自体がトラブルを起こした場合, 現場ではその対応が不可能なのが現状である. したがって対策として, 正常運転中から, プリント基板上のtest-pointを利用し, 電流, 電圧およびその変動幅を逐一チェックし, 許容範囲を超えそうならば警報表示できるようなもう1歩進んだ安全機構が望まれる. それにより, 治療直前あるいは治療中の突発的なトラブルは, ある程度未然に防げるものと思われる. また最近の新型機種は, UFコントローラーの搭載の必須化, 表示のディジタル化の傾向がみられ, 治療の多様化, 適性化に大きく貢献している. 除水量の正確さに関しては, ほとんど問題はないが, ごくまれにカウント量と実際量との間に誤差を生ずることも経験され, ここにおいても装置内部でチェック機構の必要性が望まれた. また表示に関しては, 電気的信頼度およびmaintenanceの面から, 使用目的 (部位) 別にアナログ表示とディジタル表示とを使い分ける必要があるものと思われた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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