人工透析研究会会誌
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腎性骨異栄養症の画像診断
骨変化に対するX線CT, SPECTによる定量的観察の有用性
岡村 光英井上 佑一福田 照男越智 宏暢小野山 靖人安本 亮二山上 征二岸本 武利前川 正信森井 浩世
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1985 年 18 巻 2 号 p. 137-148

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抄録
血液透析患者で骨関節痛, 易骨折性, 異所性石灰化を有するもの, あるいは血清ALP高値のもの41例を対象に骨シンチグラフィを行い, 大きく3つの群に分類し, 血液化学検査と対比した. 1群は骨へのRl集積が強く特に頭蓋骨, 上顎, 下顎骨, 肋骨肋軟骨接合部などに強いRI集積を認めたもので, diffuse high activity of the bone型とした. II群は骨へのRl集積が少なく, background activityが高くhigh background activity型とした. III群は骨外に99mTc-MDPの異常集積を認めたものでextraosseous calcification型とした. I群は41例中19例, II群は11例, III群は11例で, III群のうち4例は肺・腎の臓器に異常集積を認め, 7例は軟部組織に異常集積を認めた. I群ではALP, C-PTHの高いものが多く, 透析期間も長いものが多く見られ, II群では透析期間はI群に比し短かった. III群では血清P, Ca×P積の高値が高率に認められた.
上述の腎性骨異栄養症患者41例中, 内科的治療にて軽快せず, 副甲状腺亜全摘術を施行された11例に対し, 術前術後に骨変化を調べるため種々の検査を行い, より鋭敏な方法を検討した. 従来より行われている方法に加え, X線CT, 骨シンチSPECTを使用して骨ミネラルの定量的測定を行った。11例中10例は1群に属し, 1例は軟部に異所性石灰化を認めた川群である. 骨単純X線像でも術後3カ月で骨病変の改善はある程度認められたが骨シンチでは術後1カ月で異所性石灰化の減少が捉えられ, 単純X線像の変化より速かった. X線CTによる前頭骨EMI値測定は, 中手骨microdeg sitometry, 橈骨bone mineral analysisの値の変化より大きかった。I群の骨シンチで, 頭蓋骨, 上顎, 下顎骨に強いRI集積が見られたが術後減少し, この変化を定量的に測定したSPECTによるRIカウント比は35.0~50.0%低下し, 他検査に比し最も変化が大きかった.
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© 社団法人 日本透析医学会
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