人工透析研究会会誌
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CAPD療法における電解質除去特性
熊野 和雄篠原 克人飯高 喜久雄酒井 糾
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1985 年 18 巻 2 号 p. 167-172

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抄録
CAPDにおける電解質の除去特性とこれらに関与する因子について検討した. ナトリウムおよびクロールの除去量と限外濾過量 (UFV) の間には非常に高い相関関係があり, 4.25%液使用時には1.5%液使用時に比してUFVと同様に約4倍の除去量の増加を認めた. しかしカリウム, 無機燐, マグネシウムではその増加率はNa, Clに比して小さく, 4.25%液使用時には1.5%液使用時より各々, 1.3, 1.4, 2.3倍しか増加しておらず, 電解質の種類により除去特性に差を認めた. 高張透析液使用時の腹膜限外濾過液は細胞外液よりも電解質濃度は低く, このことは高張液の頻回使用時に高ナトリウム血症等を起こす可能性を示唆しており, 注意を要する. CAPD患者の透析液よりのカルシウム吸収量は限外濾過量と負の相関があり, 高張透析液使用時にはnegative balanceとなるので, 4.25%液のCa濃度は少し高くする必要がある. マグネシウムの除去量は少なく, ほとんどの症例で血清Mg値の漸増傾向を認めることより透析液Mg濃度を低下させる必要がある.
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© 社団法人 日本透析医学会
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