日本透析療法学会雑誌
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CAPDにおける腹膜クリアランス
山本 義久高橋 計行板垣 信生農野 正幸長谷川 廣文今田 聡雄堀内 篤
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1985 年 18 巻 4 号 p. 405-410

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抄録
continuous ambulatory peritoneal dialysis (CAPD) における腹膜クリアランス (PC) の測定について検討し, 従来の報告と対比した. 腹膜透析の貯液時間を0.5-9時間としてPCを算出した. 尿素窒素 (UN) およびcreatinine (Cr) のPCを含有糖濃度別 (1.5, 2.5および4.25%) に求めた.
PCは含有糖濃度とは関係なく, 時間の経過とともに急速に低下し, 4時間で平衡値に近くなっていた. 4時間以内の場合はPCに貯液時間が大きな影響を与えるため, 腹膜の機能は正確に反映されていない. 短時間のPCを求める場合でも貯液時間は4-9時間とする方が正しいと思われた.
一方, CAPDは1.5%あるいは4.25%の糖を含有する透析液を毎日ほぼ一定した時間帯で交換する治療法である6したがって, 1日のPCによる腹膜の機能評価が短時間のPCによる評価よりも適切であると考えられた. そこで24時間の排液をすべて集液した. CAPDを12ヵ月間継続しても1日のPCには変動が認められなかった. 高脂血症の進行程度, 糖尿病と非糖尿病および腹膜炎の既往の有無で1日のPCを比較検討した. 非糖尿病groupよりも糖尿病groupでCrの高値を示した以外, 有意の変化は認められなかった.
短時間のPCが低下していることから, CAPD患者の腹膜機能が低下するという報告が過去になされている. しかし, 今回の検討からCAPDを12ヵ月間継続しても腹膜機能は低下しないことを確認した.
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© 社団法人 日本透析医学会
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