日本透析療法学会雑誌
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無抗凝固剤血液透析 (NAHD) 用dialyzerの開発
椿原 美治飯田 喜俊河島 利広中西 功横川 朋子友渕 基三宅 丈夫西岡 敬介竹中 良則梅香家 鎮福味 広員
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1985 年 18 巻 4 号 p. 411-416

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抄録
無抗凝固剤血液透析 (NAHD) 用dialyzerを開発する目的で, dialyzer moduleの性状, 特に至適fiber内径 (φ) および剪断速度 (SR), およびdialyzer headerの形状について, 基礎的および臨床的検討を行った.
血流がdialyzer中央部に集中しやすい偏平型headerでは周辺部fiberに残血が多い. そこで, 周辺部fiberにも血流が均一に分布することを設計思想として紡鍾縦入れ型および横入れ型headerを作製し一定のmoduleに装着してin vitroおよび臨床比較を行った. この結果, 紡鍾型および横入れ型headerを用いることによりheader内凝血および残血fiber本数の著明な減少を認めた.
イヌを対象にφ(μ)/SR(sec-1) がそれぞれ200/400, 300/400, 400/400, 200/674と異なるmoduleを用いNAHDを行い出入口部の圧差からfiber内凝血をモニターした. SRが400sec-1ではφが大な程凝血の開始が遅れ, しかも進展速度も緩徐となる. φが200μでもSRが大なmoduleでは凝血開始は遅延するが進展速度は早い. この成績を基に形状および性能的に臨床応用の可能な4種 (φ/SR=300/220, 230/440, 200/314, 300/314) のmoduleを用い臨床比較を行った. この際, 透析性能などからφが300μ以上のfiberの使用は困難で, φが300μであればSRが約300sec-1が限度と考えられる. 4種の中ではφ300, SR 314とともに大なmoduleが残血fiber本数, β-thromboglobulinの増加量共に最も少なく, NAHD用として最適であると考えられた.
そこでこのmoduleに先の紡鍾型headerを動静脈側に装着したdialyzerを試作し, 従来の偏平型headerを装着したdialyserと比較すると残血fiber本数およびβ-thromboglobulinの増加量はさらに著明に減少した.
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