抄録
再生セルロース系の薄い膜が採用され, 細長い形状をとるようになった最近の血液透析用ダイアライザーの性能を, 小分子溶質除去能および透水性能の両面から, ほぼ同面積の従来器と比較した.
尿素, クレアチニンのクリアランスの絶対値では, 新旧モジュールの間に大きな差はなかったが, 新型器の性能は透析液流量に, より依存しやすい傾向を認めた. 尿酸, 無機リンのクリアランスは新型が旧型を大きく上回るとともに, 透析液流量に対する依存性は, 新型において顕著となった. この差は治療に影響を与えるほど大きなもので, 性能の流量依存性を把握しておくが重要である.
クリアランスと除去溶質の分子量との関係より, 薄膜化は大き目の溶質の除去に優れるものと思われた.
薄膜化は膜自身の透水性能を向上させるが, 臨床で必要なモジュールの見かけの透水性能 (UFR/Pps) は, 透析液側の圧力損失によってコントロールされる. 透析液流量の増加にともない圧力損失も増加するため, UFR/Ppsは低下することがわかった. これによる除水の制御が可能と思われた.