日本透析療法学会雑誌
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持続的血液濾過法が奏効した症例の検討
北村 真飛田 美穂田坂 登美飯田 宜志黒川 順二平賀 聖悟佐藤 威
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1986 年 19 巻 10 号 p. 939-942

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抄録

心疾患を合併した症例や, 重篤な全身状態に陥った症例など, 通常の血液透析では循環動態に与える影響が大きすぎる症例に対し, 近年continuous hemofiltration (CHF) が用いられるようになった. 当腎センターにおいても, 1979年12月以来CHFの臨床経験を重ねている. 今回我々は, 術後急性腎不全, 透析困難症に陥った慢性腎不全および急性薬物中毒の各々2症例に対しCHFを行い, 見るべき成果をあげたのでその方法論, 効果などについて報告する.
CHFの回路には血液ポンプを使用し, 原則として動脈カテーテルを留置しなかった. 血流量は約100ml/minとした. 置換液は平均8l/day. 溢水状態にある症例に対しては, 2l/dayの除水を行った. 炭酸リチウム等の過量服用による急性薬物中毒に対しては, 組織から遊離してきた薬物を持続的に除去する目的で, 積極的に本法を施行した.
次のような結論を得た. 1) 血液ポンプを使用する事により動脈カテーテル留置を必要とせず, 安定した血流量を保つことができた. 2) HDに比し, 安定した血圧を保つことができた. 3) BUN, クレアチニン, 電解質などの改善を認めた. 4) 急性薬物中毒に対し, 臨床的に著効を認めた.

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