日本透析療法学会雑誌
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造影剤の血液透析による除去性
大平 整爾阿部 憲司長山 誠田中 康夫今 忠正
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1986 年 19 巻 10 号 p. 969-975

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抄録

脈管造影, 胆嚢造影, 腎盂・尿管造影さらに各種のenhanced CTなどの検査にはヨード含有造影剤が使用される. 慢性透析患者に対してもこれら検査法が用いられることが, 近年多くなってきている. ヨード含有造影剤は主として糸球体濾過によって腎より排泄されるため, 慢性透析患者ではその排泄が著明に遅延する. そこで60%コンレイ® (イオタラム酸メグルミン) 20mlを血液透析前日投与群と直前投与群とに分けて静注し, 経時的に血中総ヨード濃度を測定して慢性血液透析患者における本剤の動態を検討した.
イオタラム酸メグルミンは分子量809で血漿蛋白質とはほとんど結合しない. 本剤は血液透析によって経時的に略, 指数関数的に減少したが, 血中総ヨード濃度は5時間の血液透析によって投与前値には復しなかった. 造影剤の血中半減期は前日投与群で約140分, 直前投与で約100分であった. 60%コンレイ®20ml静注投与による副作用として重篤なものを両群に認めなかった.
しかし, 嘔気, 熱感, 掻痒感など中等度以下の副作用は明らかに前日投与群で遷延した. Enhanced CTなどではより大量の造影剤が使用されることもあり, ヨード含有造影剤を静注使用する検査後は速やかに血液透析を行うことが必要である.

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