日本透析療法学会雑誌
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粉状活性炭シートカラム (UPC, BESPORETM) を用いた血液灌流による低分子量蛋白の除去
川西 秀樹土谷 太郎西亀 正之土肥 雪彦
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1986 年 19 巻 10 号 p. 977-982

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抄録

慢性血液透析患者に蓄積している低分子量蛋白 (LMP) の除去を目的として, 粉状活性炭シートカラム (UPC, BESPORETM) を用いた血液灌流の研究を行った. 透析患者プール血清を用いたBatch試験にて分子量3万までの物質 “β2-microglobulin (β-MG), lysozyme, retinol-binding Protein” に対し良好な吸着が得られることが示された. それに対し4万以上の物質 “α1-acidic glycoprotein, α1-antitrypsin, immunosuppresive acidic protein” はほとんど吸着されなかった. 血液透析患者4人対し計15回の血液灌流を行い, 分子量1万-3万のLMPの除去が得られることが示された. 特にamyloidosisの原因物質の1つとして最近注目されているβ-MGは1回の灌流で平均25%減少し, clearanceも初期30分で60ml/minと良好な除去が得られ総除去量は150mgであった. UPC-灌流はLMPの除去に優れており尿毒症症候の改善に対する効果が期待される.

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© 社団法人 日本透析医学会
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