日本透析療法学会雑誌
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クエン酸抗凝固法での透析液至適Ca濃度の検討
久間 知子堀井 康弘石田 正史平尾 健谷本宮 善恢貴宝院 邦彦金子 佳照吉田 克法丸山 良夫平尾 佳彦岡島 英五郎
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1986 年 19 巻 10 号 p. 983-986

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抄録

クエン酸透析において, クエン酸中毒のriskを除き, かつ十分な抗凝固効果を得るためには, 回路内至適クエン酸濃度は1.0-1.5mM必要であり, この場合回路内Ca++濃度は0.6-0.8mMであることを, すでに確認し報告したが, 今回, 回路内至適クエン酸濃度1.0-1.5mMでの透析液至適Ca++濃度を検討した.
ホロファイバー型ダイアライザーを用い, 回路流量200ml/min, 透析液流量500ml/min, 回路内Ca++濃度を一定に保つために2% CaCl2液を注入し, 回路リザーバー容量を10lに設定した再循環式閉鎖型回路を作製した. 動脈側よりチトラール30ml/hrを注入し, 回路作動後15分, 30分, 60分, 90分に, リザーバー出口, 動脈側, 静脈側の3点で試料採取を行った. Ca++濃度0mM, 0.5mM, 1.0mM, 1.5mMの透析液を採取し, 比較検討した.
透析液Ca++濃度0mM, 0.5mMの場合, 動脈側, 静脈側ともに, 50%前後の回路内Ca++濃度の抑制が見られた. 一方, 透析液Ca++濃度1.0mM, 1.5mMでは動脈側で約50%の回路内Ca++濃度の抑制を得るが, 静脈側では殆ど抑制効果は認めなかった. したがって, クエン酸透析における至適透析液Ca++濃度は0.5mMと考える.

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© 社団法人 日本透析医学会
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