日本透析療法学会雑誌
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透析患者のMnとNiについて
細川 進一
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1986 年 19 巻 10 号 p. 987-991

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抄録

慢性腎不全のため長期血液透析を受けている40例を対象として血清, 血球中のMn, Ni値を検査した. 透析患者の血清Mn値は0.20±0.40μg/dlで正常値1.0±0.20μg/dlと比較して有意に低値を示した. 血球Mn値は透析患者では2.2±0.2μg/dlであったが正常例のそれは1.8±0.04μg/dlと有意に高値を示した. 透析患者の血清Ni値は0.26±0.04μg/dlで正常例の0.52±0.10μg/dlと比べて有意に低値を示した. 透析患者の血球Ni値は1.24±0.16μg/dlであり, 正常例では0.88±0.06μg/dlで有意に高値を示した. 透析前後で血清Mn値は特に有意な変化はなかった. また血球Mn値も同様, 透析前後で有意な変化は示さなかった. 血清Niは透析前後で有意な変化は示さなかった. 血球Ni値も透析前後で有意な差は認められなかった.
40例の透析症例の血清Mn値とRBC, Hb, Hct値とは有意な正の相関を示した. また血清Ni値もRBC, Hb, Hct値とは有意な正の相関を認めた. しかし血清Mn値, 血清Ni値と血清鉄, TIBCとはいずれも有意な関係は認めなかった. 血球Mn値および血球Ni値はRBC, Hb, Hct値とはいずれも有意な負の相関を認めた. しかし血球Mn値, Ni値とも血清鉄, TIBCとは特に有意な相関は認めなかった.

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