日本透析療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-6211
Print ISSN : 0911-5889
ISSN-L : 0911-5889
全身性アミロイドーシスに対する血漿交換療法
高光 義博由良 高文湯浅 繁一三木 茂裕福永 恵吉田 寛二隅蔵 透大西 哲郎高橋 則尋松尾 裕英
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 21 巻 1 号 p. 61-66

詳細
抄録

原発性アミロイドーシス2例, 続発性アミロイドーシス1例に対し, 血漿交換 (PEx) 単独, あるいはPExとdimethyl sulfoxide (DMSO) との併用療法を試み, その有効性について検討した. 血中アミロイド物質の存在形態が多彩であること, また “amyloidogenic” な状態を成立させる種々の因子の関与が示唆されることを考慮し, PExは単一膜分離法にて行い, 置換血漿として1回あたり3.2-4.8lの新鮮凍結血漿を用いた. いずれの症例も本療法開始時すでに高度のアミロイド沈着による重要臓器不全をきたしていたため, 満足のいく効果を得たとは言い難い. しかし, 血液透析, DMSOの皮膚塗布と並行してPExを施行した原発性アミロイドーシスの1例において, 肝および腎組織の検討でアミロイド物質沈着遅延効果を認め, 自覚症状にも軽快をみたことより, 本療法を早期に開始することで, 全身性アミロイドーシスの生命予後が数善される可能性が示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top