抄録
最近, 透析患者の発癌率が高いことが注目されている. 今回, 我々は慢性腎不全にてCAPD療法中にIgA型骨髄腫を合併し, 多発骨折および肝不全にて死亡した一例を経験したので報告する.
患者は38歳の男性でCAPD療法中に肋骨多発骨折および腰椎圧迫骨折をきたし, 免疫電気泳動および骨髄穿刺にてIgA型骨髄腫の合併が判明した. CAPD療法と血液透析との併用療法を行ったが, 肝不全にて死亡した. 骨髄腫に対してcyclophosphamideを使用し, 透析中の血中濃度を測定したので併せて報告する.