日本透析療法学会雑誌
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21 巻, 10 号
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  • 秋山 昌範, 沼田 明, 田村 雅人, 秋山 欣也, 川西 泰夫, 湯浅 誠, 今川 章夫
    1988 年 21 巻 10 号 p. 909-912
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    CAPD (continuous ambulatory peritoneal dialysis) における最大の合併症は腹膜炎である. 腹膜炎の殆どは細菌感染であるが, まれには無菌性のものがある. 無菌性腹膜炎の中に白血球の好酸球の割合が多く自然寛解をみるいわゆる好酸球性腹膜炎の存在が報告されている. 今回我々は, 好酸球性腹膜炎と思われる2例を経験した.
    2例は, 46歳と39歳の男性である. それぞれCAPD開始後2日目と13日目に好酸球が増多したが, 2例とも排液の混濁以外は全く無症状であった. また, 全経過を通じて排液の培養は陰性であった. 両者とも無治療にて自然治癒した.
    好酸球増多の原因は不明であるが, 1例の血清IgEが高値を示したことよりCAPDの透析システムに対するなんらかのアレルギー反応が示唆された.
    いずれにしても重要なことは, CAPD導入初期には好酸球性腹膜炎が考えられることを十発に認識し, 不適切な化学療法などで真菌性腹膜炎などを併発させないことである. 我々もCAPDを開始して8年の経験を持つが, 初期の無菌性腹膜炎では好酸球を測定しておらず, 無用で有害な治療を行った可能性も否定できない.
  • 梅津 道夫, 多川 斉, 齋藤 恒博, 山門 実, 浦部 晶夫, 高久 史麿, 桑木 知朗, 佐々木 透, 高梨 直樹
    1988 年 21 巻 10 号 p. 913-918
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    遺伝子組換えヒトエリスロポエチンを用いた放射免疫測定法を新たに開発し, 特異性, 感度, 再現性ともに優れた臨床応用可能な血中エリスロポエチン (EPO) 濃度の測定系を確立した. その容量反応曲線は3-250mU/mlの範囲で直接測定が可能であり, 最小測定限界は5mU/mlであった.
    本法によって測定したEPOは長期透析患者428例において16.1±8.6mU/ml (m±SD), 正常人86例において17.1±7.2mU/mlであり, 両群間に有意差を認めなかった. 透析患者のEPOは貧血の程度に比して相対的に極めて低値と考えられ, またEPOとHtとの間には相関を認めなかった. 大量の輸血を受けた患者群と非輸血群のEPOはほぼ同値であったが, 一部の高度貧血患者では低値の傾向があり, 輸血を繰り返す必要があった. 正常人, 透析患者ともにEPOは加齢にともなって増加する傾向があったが, 正常人では70歳以上でやや減少した. 透析期間が長いほどHtが高い症例が増加する傾向があるが, 透析期間とEPOの間には有意の相関を認めなかった. 腎不全の原因疾患別にみると, 多発性骨髄腫のEPDは他疾患の患者群よりも有意に高値であった. 多発性嚢胞腎では貧血は軽度であり, EPOはやや高値の傾向を示した. なお, 蛋白同化ステロイド・鉄剤投与の有無, 網状赤血球数, 血液尿素窒素, 血清クレアチニン, 血清鉄, 血清フェリチンとEPOとの間には, 相関を認めなかった.
  • 伊藤 博夫, 内藤 周幸, 林 洋, 川村 光信, 宮崎 滋, 生野 重明
    1988 年 21 巻 10 号 p. 919-923
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    出血傾向または脂質代謝異常を有する患者3例に対して, 抗凝固薬として蛋白分解酵素阻害薬であるFUT-175を用いてプラスマフェレーシスを施行した. 出血傾向を有する患者2例には二重濾過血漿交換 (DFPP) を行い, V型高リポ蛋白血症の患者1例には, 遠心式血漿分離装置と血漿濾過器を組み合わせた遠心濾過プラスマフェレーシス (CFPP) を行った. 血液凝固時間は, セライト活性化凝固時間法により測定した.
    出血傾向を有する患者では, 20mg/時のFUT-175持続注入量で体外循環の維持が可能であり, また出血の悪化傾向は認められなかった. 一方, V型高リポ蛋白血症に対するCFPPでは, 血液回路の特殊性により体外循環時間が長くなり, そのために持続注入するFUT-175の量は50-60mg/時が必要と考えられた. さらに, ヘパリン使用後にみられるβリポ蛋白のnegative chargeの増加や遊離脂肪酸の増加は, FUT-175投与後には認められなかった. 従って, FUT-175は脂質代謝に影響しないと考えられた. FUT-175の投与後に副作用はみられなかった. 以上より, 出血傾向や脂質代謝異常を有する患者のプラスマフェレーシスにおける抗凝固薬として, FUT-175は安全かつ有用であると考えられた.
  • 柴原 伸久, 安田 英煥, 大西 周平, 岡田 茂樹, 浜田 勝生, 宮崎 重, 中垣 育子, 佐々木 貞雄
    1988 年 21 巻 10 号 p. 925-929
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    尿毒症性末梢神経障害の成因を調べる目的で, 両側腎摘除術によって作製した急性腎不全ラットを用いて坐骨神経伝導速度と坐骨神経軸索内電解質濃度および坐骨神経の形態について検討した. 軸索内電解質濃度は電子プローブX線マイクロアナリシス法により測定した. 結果は1) 腎不全群の坐骨神経伝導速度は29.2±3.1m/sec (n=20) で対照群の37.1±1.9m/sec (n=20) に比し有意に低下していた. 2) 腎不全群の坐骨神経軸索内Na濃度は6.0±0.7mmol/kg wet weight (n=10) で対照群の12.7±1.4mmol/kg wet weight (n=10) に比し有意に低下していた. 3) 腎不全群の坐骨神経軸索の断面積は対照群に比し約16%低下していた. 以上より急性腎不全状態に見られる神経伝導速度の低下の原因として, 神経細胞膜のNa透過性の低下による神経細胞の興奮性の低下と軸索の萎縮が重要な役割を有するものと考えられた.
  • 好酸性細胞を中心に
    鈴木 芳樹, 鈴木 正司, 平沢 由平, 森田 俊, 清水 武昭, 荒川 正昭
    1988 年 21 巻 10 号 p. 931-937
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    副甲状腺摘出術を施行した42例 (男性29例, 女性13例) 148腺において, 組織学的所見と臨床所見との比較検討を行った. 組織学的にはび漫性および結節性過形成の分類の他, 画像解析装置を用いて, 切片上の努酸性細胞面積と全面積を測定し, 両者の比 (R) を求めた. 各腺と症例毎にI群 (R<1%), II群 (1≦R<5%), III群 (5≦R<10%), IV群 (10%≦R) の4群に分類した. 臨床的には年齢, 透析期間, 血清PTH-C, Ca×iP積, 腺重量を用いた. 結果: 結論1) 手術時の年齢, 透析期間, PTH-C, Ca×iPにおいては, 性差がなかった. 2) 全摘出腺148腺を各腺毎のRで分類すると, I群が最も多く, II群を加えると78.4%を占めた. また, 部位別の分類では差を認めなかった. 3) I群はび漫性過形成が多く (63.3%), II群より結節性過形成が多く認められ, IV群では結節性過形成が優位であった (76.9%). 全体では僅かに結節性過形成が多かった (51.4%). 4) 症例毎の分類では, 明らかな性差は認められなかった. I群はIV群と比較して透析期間が短く, Ca×iPが小さい傾向があった. しかし, 全群とも年齢に差はなく, PTH-Cにも差を認めなかった. 5) PTH-Cは, 総重量とは, r=0.475, p<0.01の正の相関があった. 総重量と全面積は正の相関があり, PTH-Cは全面積ともr=0.396, p<0.01の正の相関があった. 好酸性細胞面積との散布をみると, 面積が10mm2未満の症例ではPTH-Cは幅広く分散し, それ以上の症例では分散は小さくなり, 明らかな増加も減少も見られなかった. しかし, 10mm2以上の15例における相関をみるとr=-0.516, p<0.05の負の相関を認め, またRが5%以上である16例においてPTH-Cとの相関をみると, 同様にr=-0.498, p<0.05の負の相関を認めた. 以上より慢性腎不全では, 同細胞が直接PTHを産生している可能性は少ないと考えられた. 6) 今回検討した42例には, 3°HPTを疑わせる症例はなかった.
  • 橋本 寛文, 三宅 範明, 横田 武彦
    1988 年 21 巻 10 号 p. 939-943
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者16例に口渇に関するアンケート調査を行い, 15例に口腔内乾燥感の存在を認めた. これらについて唾液分泌量, 唾液成分濃度 (Na, K, Cl, P, BUN, Cr, 浸透圧, アミラーゼ, pH) を透析前後で測定した. その結果, 血液透析患者では唾液分泌量は健常者に比し, 透析前後とも低下しているが, 透析後では透析前に比し有意に増加していた. また唾液成分濃度は全測定項目とも透析後低下ないしは低下値向を示した. なかでも透析後の唾液浸透圧減少率と唾液流出量増加率との間には正の相関が認められることより, 透析患者の口腔乾燥因子として浸透圧の上昇が関与している可能性が示された. また一部の症例で耳下腺造影を施行したところ, 主導管の拡張, 腺系の萎縮等が5例中3例に認められ, 唾液分泌量の少ない不可逆性の口腔乾燥症の存在も明らかとなった.
  • 安森 亮吉, 鵜殿 平一郎, 迎 寛, 田所 正人, 小原 直, 田中 民雄, 平井 義修, 原田 孝司, 原 耕平, 川道 泰佑, 広瀬 ...
    1988 年 21 巻 10 号 p. 945-950
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    最近, 透析患者の発癌率が高いことが注目されている. 今回, 我々は慢性腎不全にてCAPD療法中にIgA型骨髄腫を合併し, 多発骨折および肝不全にて死亡した一例を経験したので報告する.
    患者は38歳の男性でCAPD療法中に肋骨多発骨折および腰椎圧迫骨折をきたし, 免疫電気泳動および骨髄穿刺にてIgA型骨髄腫の合併が判明した. CAPD療法と血液透析との併用療法を行ったが, 肝不全にて死亡した. 骨髄腫に対してcyclophosphamideを使用し, 透析中の血中濃度を測定したので併せて報告する.
  • 丹羽 利充, 小沢 裕子, 前田 憲志, 柴田 昌雄
    1988 年 21 巻 10 号 p. 951-956
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性血液透析患者血液中に蛋白結合して著明に増加しているインドキシル硫酸の高速液体クロマトグラフィー (HPLC) を用いた簡便な定量法の確立を試みた. 血清10μlをinternal-surface reversed-phase (ISRP) カラムを装着したHPLCにより分析した. 溶出ピークを乾固後, 二次イオンマススペクトロメトリー (SIMS) により測定したところ, 分子量が213と分かり, また, UVスペクトル, HPLCの保持時間もインドキシル硫酸と一致した. 蛋白結合型インドキシル硫酸の血清濃度を, 血清の除蛋白を必要とせずにHPLCにより短時間に容易に測定することが可能となった.
    透析患者80名の透析前および透析後の総インドキシル硫酸および遊離型インドキシル硫酸の血清中濃度をISRP-HPLCにより測定し, 各臨床検査値との相関関係を検討した. 透析前総インドキシル硫酸は平均32.6μg/mlと正常者の平均0.50μg/mlに比較して著明に増加していた. 透析後のインドキシル硫酸は平均25.7μg/mlであった. 透析前のインドキシル硫酸濃度は透析年数, 透析前血清クレアチニン, β2-ミクログロブリン濃度と弱いが有意に正相関した. インドキシル硫酸の蛋白 (アルブミン) 結合率は透析前89%, 透析後84%であった.
    インドキシル硫酸の薬物-アルブミン結合への阻害作用を平衡透析法により検討した. インドキシル硫酸はサリチル酸のアルブミン結合を用量依存性に阻害した. また, 透析患者の血清中にアルブミンと結合して著明に増加している3-carboxy-4-methyl-5-propyl-2-furanpropionic acidはインドキシル硫酸のアルブミン結合を用量依存性に抑制した.
    インドキシル硫酸は血中では大部分がアルブミンと結合しており血液透析により除去されにくく, 透析患者の血清中に薬物結合阻害因子として著明に蓄積していた.
  • 1988 年 21 巻 10 号 p. 957-959
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 10 号 p. 960-962
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 10 号 p. 963-965
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 10 号 p. 966-968
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 10 号 p. 969-971
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 10 号 p. 972-975
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 10 号 p. 976-978
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 10 号 p. 979-981
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 10 号 p. 982-984
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 10 号 p. 985-988
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 10 号 p. 989-991
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 10 号 p. 992-993
    発行日: 1988/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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