日本透析療法学会雑誌
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Blood access合併症の現況とその対策
大平 整爾阿部 憲司今 忠正近藤 正道
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1988 年 21 巻 4 号 p. 355-363

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抄録
近年, 血液透析を要する疾患が多様化し, 患者数の増加が著しい. 長期生存者も漸次, 増加の-途をたどりこれに伴う重要な問題の1つとしてblood accessが挙げられる.
今回, 私共は昭和59-61年の3カ年間にblood access (大半が自家動・静脈内シャント) に何らかの問題があるため手術的処置を加えた105例 (115手術) を分析, 検討した.
症例の母集団の性別比からみると, 再建例には女性が有意に多かった. 再建例のピークは透析導入1-2年後と7年以降とに認められた.
前者は初回内シャント造設時の脈管の状態に, 主として依存するものと推測された. 初回内シャント造設時に良好な状態にあった脈管であっても, 静脈は動脈化による圧負荷および頻回の穿刺によって漸次, 硬化・狭窄の変化が生じ荒廃していく. 異所性石灰沈着は血管に最も発生しやすく, これもまた脈管を損傷する一因となる. 内シャントの状態は, 日常の透析に際して視・触診所見, 穿刺性, 血流量, 静脈圧などをチェックしていくことが, まず基本になるが, 必要に応じて, エコー, シャント造影, サーモグラフィーなどの検査を行うことが肝要である. 再建の原因は静脈硬化・狭窄にもとづく血流量低下が第一位を占め, 同じ理由による血栓形成が第二位を占めた.
7例に動脈表在化のみが行われ内6名はCAPDへ移行した. 人工血管 (E-PTFE) の使用は24回 (20.8%) であった. 残る症例は既存内シャントの中枢側よりに再吻合または修復が可能であった. 再建の手技はaccess不調の原因や程度が様々なため多岐にわたるが, 考慮事遺は以下のように要約しうる; (1) 再建が技術的に可能か (2) 人工血管を使用するか (3) 再建術がその後の長期使用を可能にするか (4) 種々の処置が新しい問題を招来しないか (5) 術後1-2日目に穿刺が可能か. これらを十分に考慮した早期の処置がシャント寿命を延長させるものであろう.
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