抄録
人工透析器材の生体適合性を, 血液性状の変化の面から評価することを目的とした. 体外循環時の血液性状の変化のうちで, 血小板の活性化と凝固系には接触因子の活性化が起る。 今回は, 体外循環中の凝固活性化を知る目的で, APTT, 活性化全血凝固時間, フィブリノペプタイドA (FPA, EIA法) を慢性腎不全でキュプロファン膜透析器により維持透析中の患者10名を対象として測定した. その結果, FPAには体外循環の動脈側と静脈側で較差が存在し動脈側に比較して静脈側が高値を示した. そこで, FPAの動静脈較差を計算することによって, 透析器内のFPAの産生の状態を知ることができた. また抗凝固剤として, ヘパリンと合成抗トロンビン剤 (MD 805) を交互に使用してFPA産生に対する影響をみた. その結果, APTTや活性化全血凝固時間によるモニタリングでは有意差はないのにもかかわらず, FPAの動静脈較差はヘパリンよりもMD 805のほうが大きかった. 以上のことから, 凝固活性の面から生体適合性を評価するには体外循環中のFPAの産生をみる方法が有用であった.