日本透析療法学会雑誌
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小児期末期腎不全治療における腎移植の身体的, 精神的発達におよぼす影響
伊藤 克己甲能 深雪川口 洋長田 道夫永田 道子服部 元史小松 康宏武田 優美子
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キーワード: YG性格テスト
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1988 年 21 巻 7 号 p. 665-671

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抄録
シクロスポリン (CYA) が使用された腎移植患児のうち術後1年以上経過観察した症例に対し, 身体的, 精神的成長発育および社会性の復帰について比較検討した. 術後身長の伸びはprepubertal群において術後1-2年における年間身長の伸びが平均身長伸び率を上回っていた. 一方prepubertal-pubertal, およびpubertalでは女児2例を除き平均伸び率より低下していた. 腎移植前後におけるSDSの推移はprepubertal群で-3.19±1.53から-2.80±1.58, prepubertal-pubertal群では-2.17±0.85から-2.64±1.04, pubertal群では-0.86±0.68から-1.17±0.57へと変化していた. GVIはprepubertal群で平均123.4±30.2であり, prepubertal-pubertal群では平均82.9±39.5%を示した. ちなみに長期透析患児のGVIは46.4±25.3%であった. したがって, CYA使用によりステロイド剤総投与量の減少ができるものの, 末期腎不全患児の最終的身長到達点を正常時に近づけるためには, 思春期前に腎移植をすることが望ましいと思われた.
移植患児の社会性の回復として授業欠席時間数を調査したところ, 透析患児では週平均4.5時間であるのに対し, 移植患児では週平均1.5時間と減少していた. 性格の変化をみるためにYG性格テストを施行した. 透析患児にはA型およびD型が多く, 腎移植後患児にはB型が多く認められ, 学校及び家庭での日常生活のうえで他人との協調性に欠けることが伺われた. 腎移植後の精神面での生活指導に於て, 長期にわたる透析療法の継続が患児の性格形成に何らかの影響を与えていることを考慮し, 身体的回復ばかりでなく性格の変化についても十分に理解しなければならないと考えられた.
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