2020 年 41 巻 2 号 p. 72-82
前報34)に引き続いて,エポキシ樹脂用硬化剤としてのシアネートエステルの特性につきレビューした。シアネートエステルが電気電子材料や先端複合材料用途へ適用されることを考慮した場合の欠点は,エポキシ樹脂/シアネートエステル硬化物が脆く靭性の点で劣る点と,難燃性が不十分な点である。この欠点改良のためのシアネートエステルの開発動向について,できるだけ多くの学術論文を調査しその概要を表の形にまとめ,いくつかの代表的な配合について掘り下げて解説した。靭性の改良は耐熱性などとの物性バランスの点で必ずしも十分には達成されてはいないが,難燃性についてはDOPO(9,10- ジヒドロ-9- オキサ-10- フォスファフェナントレン-10- オキサイド)を骨格中に導入することで,難燃性能が大幅に向上することが報告されている。更に,繊維強化複合材料用のエポキシ樹脂/シアネートエステル硬化系の特性についても解説を加え,具体例として,国際熱核融合実験炉(ITER:イーター)に使用される複合材料絶縁部品を取り上げた。