日本透析療法学会雑誌
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長期透析における重曹透析と酢酸透析の比較検討 特に臨床面からの比較検討
井上 通泰竹内 誠高橋 進
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1988 年 21 巻 8 号 p. 747-751

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抄録
今回, われわれは長期透析, 8年以上における重曹透析と酢酸透析患者の血液生化学的検査値, 頭痛, 悪心, 嘔吐などの臨床症状を比較検討した. 対象は重曹透析患者は11名, 男性8名, 女性3名, 年齢は平均46.1歳, 透析歴は平均10.3年である重曹透析患者は, 重曹透析と酢酸透析を6ヵ月ずつの, crossover studyでacetate intolerace患者と診断した症例を選んだ. 酢酸透析患者は12名, 男性6名, 女性6名, 年齢は平均46.8歳で, 透析歴は平均10.5年である. 方法は, 昭和53年, 56年, 60年, 62年のそれぞれ3ヵ月間の生化学及び血液検査値, ガス分析値の平均値と, 53年と62年の血中acetate, また62年のC-PTHと左室駆出分画を両透析群間で比較した. 臨床症状として3ヵ月間の頭痛, 悪心, 嘔吐の発現回数を延べ透析回数との比であらわし比較した. 成績はBUN, 血清クレアチニン, 血清ナトリウム, 血清カリウム, 血清クロール, 血清リン, ヘマトクリット値, ヘモグロビン値, 総コレステロール, 及び中性脂肪, は各年に於いて両群間に差はみられなかった. しかし血清カルシウムのみで, 62年で酢酸透析群で高値を示したが, PTXした症例が, 両群に2例ずつみられた. またpH, HCO3-は両群間に差はなく, 両透析群とも8年後の血中acetateの上昇はみられなかった. また両透析群において, 左室駆出分画を比較したが, その差は認めなかった. 臨床症状として, 頭痛, 悪心, 嘔吐, 補液回数を比較したが, 53年, 57年では酢酸透析で多かった. しかし, 全年で臨床症状を比較するとその差は見られなかった.
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© 社団法人 日本透析医学会
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