日本透析療法学会雑誌
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Actester®によるFUT-175の適正使用量の検討
細井 春久武田 茂幸田部井 薫進藤 靖夫永島 弘文古谷 裕章山木 万里郎赤井 洋一武藤 重明草野 英二鈴木 宗弥浅野 泰
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1988 年 21 巻 9 号 p. 849-853

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抄録

近年出血性合併症を有する血液透析患者に対し, nafamostat mesilate (FUT-175) のように血中半減期の短い抗凝固薬が, ヘパリンにかわり使用されるようになってきている. FUT-175の適正使用量の調節には, CCT (celite coagulation time) を測定することが一つの指標となる. しかしながらCCTの測定は用手法であり, 日常臨床では頬雑である. 測定用チューブにceliteを含んでいるActester® (Japan Medical Supply社製) を用いたACT (activated coagulation time) の測定は, 自動的に測定されCCTに比して簡便である. 我々はこの点に着目し, FUT-175使用時の凝固時間測定がACTで可能か検討を行なった. 外科手術の適応となった透析患者26名に対して, FUT-175を原則として30mg/h-40mg/hの量で持続注入し, 血液透析を実施した. 透析開始1時間目に回路内及び全身血の凝固時間をACT, CCT, Lee-White法の3法で測定し, 比較検討した. ACT値とCCT値 (r=0.90) 及びACT値とLee-White値 (r=0.84) ともに有意の相関を示した. Lee-White値を20-30分にするためのFUT-175の必要量は症例により異なり, 最小20mg/hから最大80mg/hで平均使用量は35mg/hであった. FUT-175使用中に特に問題となる副作用は認められなかった. Actester®を用いたACTの測定は血液透析実施時のFUT-175の適正使用量調節に有用である.

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© 社団法人 日本透析医学会
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