日本透析療法学会雑誌
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透析患者の便秘と食物繊維
第1報 食物粗繊維摂取量とその限界
稲本 元尾高 恵子渡部 昭伊管 しづえ佐多 和子國頭 一也和田 孝雄猿田 享男
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1989 年 22 巻 8 号 p. 853-857

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抄録
透析患者では大腸癌が多く, 便秘が多い. 一因として食物繊維の摂取不足が推察された. そこで慢性透析患者30名の食物繊維摂取量を食事分析により調査した.
透析患者の食物粗繊維摂取量は平均一日2.4gであった. 摂取量は女子でやや多く, 一方年齢, 身長, 体重との関連は見られなかった. 透析患者の食物粗繊維摂取量は入院透析食および腎不全食の一日分の食事に含まれる粗繊維2.6gおよび2.8gとほぼ同じであり, 一方一般食の4.9gのおよそ50%, また, 日本人一人あたり摂取量6gのおよそ40%であった.
透析患者の食物粗繊維, カリウムおよび野菜類の摂取量は各々よく相関していた.
高カリウム血症予防のため, 野菜等の摂取が制限され, その結果野菜等植物に含まれる粗繊維の摂取量も減少すると考えられた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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