日本透析療法学会雑誌
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慢性および急性腎不全における赤血球内カリウム濃度の検討
三木 茂裕湯浅 繁一由良 高文隅蔵 透高橋 則尋内田 光一青野 正樹奥田 ふみ万代 尚史高光 義博海部 泰夫
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1990 年 23 巻 12 号 p. 1349-1355

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抄録
慢性および急性腎不全における細胞内カリウム代謝を明らかにする目的で, 我々は, 赤血球内カリウムおよびナトリウム濃度 (各々, RK, RNa) を健常群, 慢性腎不全非透析群, 維持透析群, 急性腎不全群, 急性腎不全回復群で測定, 腎不全の病態と関連付け検討した. その結果, 慢性腎不全非透析患者では, 健常群に比しRKは, 有意に低値であり, この理由として, 酸・塩基平衡異常の関与より, むしろ, 血液透析により除去される物質の関与が考えられる. しかし, RNaについては, 慢性腎不全非透析群と健常群や血液透析群の間に有意差を認めなかった. 急性腎不全群では, 発症から極期にかけてはRKの低下が認められるが, 回復後は, 健常群レベルに改善することより, 急速に体内蓄積される物質によるRK低下が考えられる. また, RNaは, 急性期には高値であるが, 回復後においても健常群より有意に高く, 慢性腎不全とは, 異なる病態の関与が示唆された.
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© 社団法人 日本透析医学会
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