1990 年 23 巻 6 号 p. 617-621
全身性エリテマトーデス (SLE) は, 20歳代をピークとし, 女性に多くみられる疾患である. 今回我々は, ネフローゼ症候群から比較的急速な経過をたどり腎不全となり, 薬物療法と, DFPPにより透析を離脱させ得た高齢者SLEの1症例を経験した. 高齢発症SLEは若年発症SLEと比べ特殊な病型を呈し早期診断が困難な例が多い. 本症例では, 関節炎, 漿膜炎に加え, 激しい腎障害を呈し高齢者SLEには珍しいことと考えられた. また血清学的検査では, 補体の著しい低下は認めなかったが, 血中免疫複合体値と腎障害度が相関すると考えられた. DFPPは免疫複合体量の多いSLE患者ならびに, 免疫抑制剤の副作用の出易い高齢患者では, 試みるべき治療法の一つとして考慮すべきと考える.