日本透析療法学会雑誌
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血液透析患者でのMRSA感染例に対する治療経験と透析センターとしての感染予防対策
添田 耕司小高 通夫藤井 京子磯野 可一
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1991 年 24 巻 11 号 p. 1477-1482

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抄録
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の院内感染が出現しており, 透析センターとしても対策が必要となっている. 千葉大学の第2外科と人工腎臓部でのMRSA感染例について, その治療と対策について検討した.
千葉大学第2外科では, MRSAが1981年より認め1985年に急増し, 1991年6月まで181例分離され76例が重症例であった. 1989年より手術症例にMRSA感染例を認めた. その後はICUで治療をうけた急性腎不全例や慢性透析患者手術症例合計11例にMRSA院内交叉感染が認められた. 血液透析患者手術後MRSA感染症例5例のうち3例に, MRSA肺炎のためバンコマイシンを経静脈的に投与し治療した. その初期投与として1.0g/日を2日間投与し, 以後は0.5g/日を週2-3回血液透析後に投与するのが推奨される. 感染予防対策として, 重症例では個室透析, ガウンテクニック, 手指消毒が必要であり有効であった.
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