日本透析療法学会雑誌
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CAPD症例におけるカルシウム動態: 血液透析症例との比較
川西 秀樹高橋 直子豊田 敏秀谷口 良彦福馬 寿幸土谷 太郎
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1991 年 24 巻 2 号 p. 167-171

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抄録
透析療法導入1年以上のCAPD27症例と, それと完全に一致させた血液透析38症例を比較しCa, P代謝について検討を加え, 現在の透析液Ca濃度が適切であるかにつき考察を加えた. CAPD症例では血清Ca値が有意に高く, 経口vitamin Dおよび炭酸カルシウムの使用が有意に制限された. しかし血液透析症例と比較しC-PTH, ALPが低く, またmicrodensitometryで測定した骨塩量を示す指標ΔGSmin, ΔGSmax, ΣGS/Dが有意に良好であった. 以上の結果CAPD導入4年までの間であれば骨病変の進行は抑えられているものと考えられた. Ca腹膜移動は, 血清Ca値に依存しており現在のCa濃度の透析液でも (3.5, 4.5mEq/l) のでもnegativeとなっているが, 今後vetamin Dや炭酸カルシウム投与量を増加させるためには低Ca透析液が必要である. 現在血清Ca値が高く維持されているにも拘わらずPTHの上昇を示している症例は3例 (10%) であり, この症例に対し低Ca透析液の使用を考慮しなければならない.
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© 社団法人 日本透析医学会
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