日本透析療法学会雑誌
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狭心症を合併した慢性血液透析患者に対する経皮的冠動脈形成術の検討
安 隆則土師 一夫木村 玄次郎佐内 透今西 政仁河野 雄平小嶋 俊一倉持 衛夫尾前 照雄
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1991 年 24 巻 7 号 p. 909-912

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抄録
慢性透析患者に対する経皮的冠動脈形成術 (PTCA) の成績について検討した. 対象は1987年7月から1989年12月までに当センターで, PTCAを施行された慢性血液透析患者7例で平均年齢は57歳であった. 18有意狭窄病変に対してPTCAを試み, 冠動脈造影上16病変 (89%) の拡張に成功した. 入院中重篤な合併症は出現しなかったが, 1例は退院1週間後に心不全で死亡した. 平均14か月の追跡期間中3例はPTCA後7か月以内に再び狭心症が出現し, 再冠動脈造影上PTCA施行部位7箇所中2箇所 (29%) に再狭窄が認められた. 2例ともに2回目のPTCAが試みられ成功した. 虚血性心疾患を有する透析患者に対する冠動脈バイパス術は現在なおリスクが高い. これに比し, PTCAはより侵襲度が低く, 透析患者においても非透析患者と同程度の造影上の成功率であり, 効果的な治療法と考えられた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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