日本透析医学会雑誌
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維持血液透析患者の脳出血に対しCT定位血腫吸引術を施行した2症例
安森 亮吉渡部 純郎明石 光伸加賀 明彦友 雅司柴田 哲雄那須 勝大園 恵幸原田 孝司原 耕平
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1994 年 27 巻 2 号 p. 123-128

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抄録

脳出血を合併した血液透析患者2例にCT定位血腫吸引除去術を施行した. 症例1は, 63歳男性, 意識レベル3, III-a型左被殼出血で発症2日目に手術を施行した. 症例2は, 59歳男性, 意識レベル3, III-b型左視床出血で発症7時間後に手術を施行した.
2症例とも, 急性期には抗凝固剤としてNafamostat mesilateを使用し, 頻回短時間血液濾過透析を施行し, 脳圧亢進予防のためグリセオールを使用し, 特に重篤な合併症を起こさず経過を観察し得た.
透析患者の脳外科手術に際しては, 持続的血液濾過透析や腹膜透析が推奨されているが, CT定位血腫吸引術に際しては, 手術侵襲が少ないことから, 術後も頻回短時間血液濾過透析にてコントロール可能と考えられた.
血液透析患者の脳出血に対してCT定位血腫吸引除去術の有用性, および, 今後手術適応の拡大等が示唆された.

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