日本透析医学会雑誌
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維持透析中の肺水分量についての検討
原田 敬
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1994 年 27 巻 5 号 p. 335-341

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抄録

慢性腎不全患者は, 水分過剰のためhyperdynamic pulmonary edemaの状態にある. 著者は肺水腫の定量的診断法である熱ナトリウム二重指示薬希釈法を用いて, 慢性腎不全患者における維持透析中の肺血管外水分量を経時的に測定した. その結果14例の心肺に合併症を認めない患者の, 透析前肺血管外水分量は9.21±2.74ml/kgで, 心胸比, 左心房径, A-aDO2との相関を認めた. 除水量2,000ml以上の症例では肺血管外水分量は透析初期より有意に減少し, 変化率は除水量および体重の変化率と相関を認めた. 患者を低蛋白血症群と正常群に分けると, 低蛋白血症群での肺血管外水分量減少は正常群よりも遅延を認めた. 肺血管外水分量を測定することにより, 除水中の肺循環動態を明らかにすることができた.

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© 社団法人 日本透析医学会
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