日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
27 巻 , 5 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 阿岸 鉄三
    1994 年 27 巻 5 号 p. 331-333
    発行日: 1994/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 原田 敬
    1994 年 27 巻 5 号 p. 335-341
    発行日: 1994/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全患者は, 水分過剰のためhyperdynamic pulmonary edemaの状態にある. 著者は肺水腫の定量的診断法である熱ナトリウム二重指示薬希釈法を用いて, 慢性腎不全患者における維持透析中の肺血管外水分量を経時的に測定した. その結果14例の心肺に合併症を認めない患者の, 透析前肺血管外水分量は9.21±2.74ml/kgで, 心胸比, 左心房径, A-aDO2との相関を認めた. 除水量2,000ml以上の症例では肺血管外水分量は透析初期より有意に減少し, 変化率は除水量および体重の変化率と相関を認めた. 患者を低蛋白血症群と正常群に分けると, 低蛋白血症群での肺血管外水分量減少は正常群よりも遅延を認めた. 肺血管外水分量を測定することにより, 除水中の肺循環動態を明らかにすることができた.
  • 田原 大悟, 畦倉 久紀, 下村 旭
    1994 年 27 巻 5 号 p. 343-347
    発行日: 1994/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    糖尿病性壊疽は, 透析導入後も生命予後や社会復帰を脅かす重大な合併症の一つである. 著者らは今回, CAPD療法における壊疽の発生, 増悪について検討した.
    症例はCAPD患者20例, 血液透析患者10例である. 壊疽の発生をみたのは, CAPD患者6例で, このうち4例で外科的治療が行われ, 6例全員が壊疽発生2年以内に死亡している. 一方, 血液透析群では, 壊疽の発生はみられなかった.
    壊疽の発生, 増悪に関する要因をみるため, 患者をCAPD壊疽群 (n=6), 非壊疽群 (n=14), 血液透析群 (n=10) に分けて検討した. 三群間に年齢, 糖尿病歴, 喫煙歴, 網膜症, 神経症に有意差はみられない. 糖代謝でみると壊疽群では透析導入前からコントロール不良であり導入後も壊疽群, 非壊疽群, 血液透析群はそれぞれ, 空腹時血糖270.0±71.4, 169.5±44.1, 138.8±42.2mg/dl, HgA1cも10.8±1.0, 7.5±1.4, 6.5±0.6%とCAPD群, 特に壊疽群で有意にコントロール不良で, またインスリン使用も血液透析群は2例に過ぎないのに対し, 壊疽群では全例使用していた. また血圧もそれぞれ, 144±13/79±14, 154±13/83±10, 163±13/84±5mmHgと降圧剤の使用が少ないにもかかわらず壊疽群で有意に低かった. また血清アルブミンをみると, 2.5±0.3, 3.1±0.4, 4.0±0.6g/dlとCAPD群, 特に壊疽群で有意の低下がみられた. この他, 壊疽群では食欲不振, 嘔吐による脱水の頻度が高かった.
    以上より, CAPD群で壊疽を合併した頻度が高く, その発生, 増悪には, 糖尿病のコントロール不良ばかりでなく, 低蛋白血症, 血圧低下, 脱水などが関与しており, より厳格な全身管理を行う必要があると考えられる.
  • 久野木 順一, 佐野 浩志, 奥津 一郎, 蓮江 光男, 真光 雄一郎, 西山 啓介, 猪狩 友行
    1994 年 27 巻 5 号 p. 349-354
    発行日: 1994/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者の脊椎合併症に対し手術療法を施行した14例 (頸椎7例, 腰椎7例) のうち, 圧迫性脊髄症または馬尾・神経根症の原因が, 主として脊柱管内靱帯および硬膜外腔のアミロイド沈着によると診断された6例 (頸椎4例, 腰椎2例) について検討した. 年齢は51歳から68歳 (平均58.5歳) で, 透析歴は15年から20年 (平均17.4年) と長期化していた. 頸部脊髄症を呈した4例では, MRIとCTミエログラムにて, 頸椎後縦靱帯肥厚と黄色靱帯肥厚が認められた. いずれも脊柱管拡大術により, 神経症状の改善を得た. 手術所見では, 黄色靱帯肥厚と硬膜外腔のアミロイド沈着を認め, 硬膜管は黄色靱帯と癒着していた. 組織学的には黄色靱帯内にcongo red染色と抗β2-microglobulin陽性の多量のアミロイド沈着が証明された.
    腰部脊柱管狭窄を呈した2例でも, アミロイド沈着による黄色靱帯の著明な肥厚により硬膜管が絞扼されており, 椎弓切除と黄色靱帯の切除により軽快した.
    長期透析例では, アミロイド沈着による後縦靱帯・黄色靱帯肥厚が頸部脊髄症や腰部脊柱管狭窄症の原因として重要である. 本疾患では単純X線所見は通常正常であり, 破壊性脊椎関節症とは異なった疾患群として注目すべきである.
  • 新倉 一彦
    1994 年 27 巻 5 号 p. 355-360
    発行日: 1994/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者の脂質代謝障害に対する非分画ヘパリン (OH) の病因的意義を明らかにする目的で, OHと低分子量ヘパリン (LMWH) の脂質代謝に及ぼす影響を比較検討した. 透析歴3年以上の安定期透析患者で, 試験前3か月間の空腹時の血清中性脂肪 (TG) の平均値が250mg/dl以上の患者17名を対象とした. これらの症例の透析用凝固薬を無作為にLMWH群9例, OH群8例に分け, 透析前空腹時の血清TG, 総コレステロール, HDLコレステロール, リポ蛋白分画, 遊離脂肪酸 (FFA), リン脂質, 過酸化脂質, リポプロテイン (a), リポプロテインリパーゼ (LPL) 活性を8か月間測定した. LMWH群では, パルナパリンナトリウムを透析開始時に単回投与し, OH群についてはヘパリンナトリウムを単回投与後, 持続注入した. 透析1時間当たりの投与量は, LMWH群で9.7±0.9IU/kg, OH群で14.3±3.0U/kgとLMWH群で有意に低値であった. LMWH群では投与後3か月からTGが投与前に比し有意に減少したが, OH群では8か月間TGの有意な変動はみられなかった. リポ蛋白分画では, HDLリポ蛋白分画はLMWH群で投与後4か月から開始時に比し有意に上昇し, HDLコレステロールにも上昇傾向が伺われた. 総コレステロール, FFA, リン脂質, 過酸化脂質, リポプロテイン (a), LPL活性は両群とも期間中有意な変動は示さなかったが, HDLコレステロール/総コレステロール比はLMWH群で増加傾向が認められた. 以上の成績からOHは透析患者の脂質代謝の一部に病因的作用を及ぼしている可能性が強く疑われ, LMWHで脂質代謝に改善傾向の認められる事実は, 血液透析用抗凝固薬としてのLMWHの利点と考えられた.
  • 池田 弘, 福島 正樹, 山野 智子, 岡野 信明, 妹尾 浩, 中塔 辰明, 毛利 裕一, 浅野 健一郎, 吉田 総一郎
    1994 年 27 巻 5 号 p. 361-367
    発行日: 1994/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例: 36歳, 男性. 慢性腎炎から腎不全に至り, 1979年より透析導入. 腎性貧血に対し1988年までに104単位の輸血, 7年間の蛋白同化ホルモンの服用歴あり. 1979年より軽度の肝障害が持続し, HCV抗体が陽性であった. 1992年1月超音波にて肝内腫瘤性病変を指摘され精査入院となった. 肝内に10-32mmの3個の低エコー腫瘤を認め, 血行動態からは動脈血優位で門脈血流は低下あるいは欠如していた. さらに腫瘍倍化時間は200日以上とslow growingな腫瘤で, 生検組織像は高分化型肝癌であった. なおAFP, PIVKA-IIは正常範囲内であった. 画像・組織所見, 若年性肝癌である点, 非腫瘤部が慢性非活動性肝炎である点よりHCVに関連した肝癌としては非典型的であった. 本例では蛋白同化ホルモンにより誘発されるpeliosis hepatisも認められたことより, 本例の肝腫瘍は蛋白同化ホルモンにより誘発された可能性が高いと考えられた.
  • 今村 吉彦, 中村 良一, 田村 光広, 原 久美子, 矢島 治夫, 山本 田力也, 長谷 弘記, 山口 徹
    1994 年 27 巻 5 号 p. 369-373
    発行日: 1994/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    高浸透圧性非ケトン性糖尿病性昏睡で入院し, 治療経過中に横紋筋融解症から急性腎不全にいたり, 血液透析療法により回復した興味ある症例を報告する.
    症例は, 46歳男性で糖尿病の明らかな既往はなかった. 1993年2月ごろより感冒様症状出現. 3月上旬より口渇, 多飲, 多尿が続きその後異常行動出現し, 意識昏睡状態にて某院入院となる. 某院入院時, 血糖1,500mg/dl, 血清Na 151mEq/l, BUN 55mg/dl, Cr 1.9mg/dl, 尿中ケトン体1+, CPK 1,539単位と著明な高血糖, 脱水, 高Na血症およびCPK他筋逸脱酵素の上昇が認められた. 高浸透圧性非ケトン性糖尿病性昏睡の診断で輸液, インスリン療法を行い意識状態は回復したが, 腎機能が悪化したため本院転院となった. 本院入院時BUN 69.4mg/dl, Cr 6.8mg/dl, CCr 7ml/minと急性腎不全の状態で, CPK 53,400単位, LDH 2,203単位と著明高値を示し血中尿中ミオグロビンも著明に上昇していた. 血液透析療法を施行し腎機能は徐々に回復, 計7回で透析を離脱しその後腎機能は正常となった. 血糖も食事療法のみでコントロール可能となった. 本例はNIDDMが潜在的に存在し, 上気道炎を誘因に糖尿病性昏睡となり, さらに高血糖, 高浸透圧, 高Na血症, 脱水などが原因で横紋筋融解症を呈し急性腎不全となったと考えられた. 糖尿病性昏睡に合併した横紋筋融解症では, 浸透圧利尿のため急性腎不全になる症例は少ないが, 本例は腎機能の急激な悪化を認めたため速やかに血液透析療法を施行し, 腎機能の回復が得られたと考えられた.
  • 須賀 昭信, 竹本 雅彦, 土田 昌弘, 鎌田 清治, 小西 基彦, 城嶋 和孝, 内藤 克輔
    1994 年 27 巻 5 号 p. 375-379
    発行日: 1994/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    CAPD歴6年の26歳男性に高リン血症に伴う腫瘍状石灰化 (tumoral calcinosis) が発生した. 保存的治療を試みたが高リン血症は改善せず, 疼痛などの症状が強くなったため外科的切除を施行した. 再発予防目的でサイクラーを使用しCAPD+NIPD (nightly intermittent peritoneal dialysis) 療法を施行したところ, 残存皮下石灰沈着は完全に消失し, 異所性石灰化の再発は認めない. 本症例で良好な経過が得られたのは食事指導のほかに, サイクラーの使用によって透析効率が改善されたことも一つの要因であると考えられた.
  • 近藤 恒徳, 大場 忍, 小幡 紀夫, 高橋 公太, 寺岡 慧, 東間 紘, 阿岸 鉄三, 太田 和夫
    1994 年 27 巻 5 号 p. 381-386
    発行日: 1994/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    50歳, 男性. 34歳時, 慢性腎不全にて血液透析に導入された. 2年前より両下肢関節痛, 全身掻痒感が出現し, 血液検査にて血清カルシウム, アルカリフォスファターゼ, 副甲状腺ホルモンの上昇が認められた. X線上全身の線維性骨炎が著明で, 画像所見にて直径約2cmの甲状腺左葉上極内の腫瘍と副甲状腺の腫大が認められた. 二次性副甲状腺機能亢進症 (2° HPT) に伴う甲状腺あるいは副甲状腺腫瘍と診断され, 1992年7月甲状腺左半切除および左頸部リンパ節郭清, 副甲状腺全摘および右上腕内自家移植術が施行された. 病理組織学的に右上下, 左下副甲状腺は, 過形成であった. 甲状腺内の腫瘍は2.4×1.8cmで線維性の被膜に覆われていた. 腫瘍細胞は好酸性細胞質を有し, シート状に増殖していた. また被膜浸潤, 静脈内腫瘍塞栓, 核分裂像も認められた. 電顕的には, 細胞質内に多数のミトコンドリアを認め, 分泌顆粒も認められた. 免疫組織学的にサイログロブリンが陰性であることから, oxyphil cell typeの副甲状腺癌と診断された. 現在術後約1年が経過しているが, 再発および転移の兆候を認めていない. 2°HPTに合併した副甲状腺癌の報告例は本症例が12例目である. 副甲状腺癌の組織型のほとんどはchief cell typeで, oxyphil cell typeの報告は非常に少ない. このため本症例は非常に稀な症例と考えられた.
  • 加藤 明彦, 河野 智, 池谷 直樹, 坂尾 正, 米村 克彦, 菱田 明, 金子 榮蔵
    1994 年 27 巻 5 号 p. 387-390
    発行日: 1994/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者において, percutaneous transluminal coronary angioplasty (PTCA) 後に再狭窄を繰り返したり, PTCA施行が困難な病変に対し新しい冠動脈形成術を試みた. 症例1は73歳, 男性 (透析歴17年). 左前下行枝の完全閉塞に対しPTCA施行し25%狭窄まで改善するも, 3か月後に再狭窄 (90%) を認めたため, PTCA施行が困難であった隣接病変とともに, directional coronary atherectomy (DCA) を行って粥腫を切除し, 両部位の狭窄は完全に消失した. 症例2は69歳, 男性 (透析歴5年). 右冠動脈主幹部 (#1) の再狭窄を繰り返すため, 計5回のPTCAを施行した. 再狭窄予防のため, Palmaz-Schatzステントを装着し, 有効な拡張が得られた. 本法の長期的予後は不明だが, 透析患者においてもPTCAの不適症例や再狭窄例に対し有効な方法と思われた.
  • 武林 祥裕, 阿部 貴弥, 渡辺 順, 飛田 美穂, 平賀 聖悟, 佐藤 威, 大河原 明美, 上田 守三, 澤田 祐介
    1994 年 27 巻 5 号 p. 391-396
    発行日: 1994/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性. 主訴は意識障害. 分裂病にて近医で投薬されていた. 1992年11月4日自宅で倒れているところを発見され当院へ搬送される. 来院時意識レベル300, 体温28.0℃, 血圧90/60mmHg, 脈拍70/minであった. 白血球および血小板数の減少, 高窒素血症, GOT, GPTおよびアミラーゼの上昇を認めた. 偶発性低体温症と診断し, 保存的治療を開始したが, 入院5日目頃より尿量の低下を認め, 血中尿素窒素104mg/dl, 血清クレアチニン7.7mg/dlとなった. この時点で血液透析療法を開始したが, 同時期に緊張性気胸, 肝機能障害も合併し多臓器不全に陥った. しかし,保存的治療と血液透析療法にて増悪を阻止することができた.
feedback
Top